稀代のアイドル歌手としてミュージックシーンをひた走る一方で、俳優としても活躍していた西城秀樹。衛星劇場では「フォーエバー・ヒデキ~西城秀樹出演作より~」と題して、昭和が生んだスーパースター・西城秀樹の出演作を放送中。8月2日(日)からは、ドラマ「ホームスイートホーム」が放送される。
■「寺内貫太郎一家」など話題作に出演
平均視聴率31.3%を獲得した昭和を代表する国民的ホームドラマ「寺内貫太郎一家」(1974年)では、「(父親役である小林亜星を)本気で張り倒すつもりでやった」と回顧した親子ゲンカシーンなど、情熱的な演技を披露。アイドルファンにとどまらない、幅広いお茶の間の人気を獲得するきっかけになった。
ちなみに、当時すでに売れっ子であった西城のスケジュールはぎっしりと詰まっていたが、長時間拘束されるドラマの撮影現場でも文句一つ言わなかったという話もある。今なお、多くの人を惹きつけてやまないのは、こんな西城の誠実な人柄も理由なのかもしれない。
■高ぶる感情の起伏を自然に表現
そんな西城だが、「花吹雪はしご一家」(1975年〜76年)での銀二役を最後に歌手業に専念。その後は、単発でのドラマ出演はあったものの、連続ドラマへの挑戦は「ホームスイートホーム」が実に6年ぶりのことだった。
1982年8月に放送を開始した本作。両親の離婚で離れて暮らしていた姉と弟が偶然の再会を果たしたことから、物語は始まる。老いの孤独と闘っている両親を再び1つの屋根の下で暮らさせたいと願う2人の姿を描きながら、家族とは何かを真摯に問いかけるホームドラマだ。
と、ここまで読めば、「寺内貫太郎一家」のように古き良き昭和の心温まる家族の話のように思われるかもしれないが、実際は異なる。
西城演じる北田勇一は、北田園芸店の25歳になる一人息子。だが、お世辞にも仕事熱心とはいえない彼は姉・村山みづえ(桃井かおり)に淡い恋心を抱き、みづえもまた勇一に惹かれてしまうという昼ドラ的な展開に。他にも、みづえがバツイチ子持ちだった過去が発覚したり、叔父夫婦が家業の乗っ取りを画策するなど、昼ドラばりにドロドロした内容となっている。
作中では、まるで勇一が乗り移ったかのように高ぶる感情の起伏を自然に演じる西城だが、これは高い演技力などの簡単な言葉ではとても表現しきれるものではない。物語が進むにつれて勇一から目が離せなくなる様は、ライブで見せる彼のパフォーマンスの域に昇華しているといっても過言ではないだろう。
ヒデキファンはもちろん、昼ドラや韓流ドラマ好きも納得の一作となっている。
文=安藤康之
放送情報
ホームスイートホーム
放送日時:2020年8月2日(日)10:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら