TVドラマが人気となり映画化された『ストロベリーナイト』や映画『コンディフィデンスマンJP-プリンセス編-』など数多くのヒット作に出演し、今後の活躍も期待されていた竹内結子。9月の突然の訃報は多くの人に衝撃を与えたが、彼女のキュートな笑顔や凛とした気品のある佇まいは、映画やドラマの中でこれからもずっと生き続けることだろう。
そんな竹内が認知症を患った父(山崎努、※「崎」は正しくは「立さき」)の長女役を演じた映画『長いお別れ』(2019年)と"女性を救う"という信念のもと戦う弁護士を演じたTVドラマ「スキャンダル専門弁護士QUEEN」(2019年)が映画・チャンネルNECOで12月に放送される。仕事ができるクールな女性を演じることも多かったが、演じてきた役柄は幅広い。蒼井優との姉妹がハマり役だった『長いお別れ』で竹内結子が演じた役柄は悩める母。映画の中で見せた彼女の愛おしい顔とは?
■明るくて少し不器用な長女役を竹内結子が好演
『長いお別れ』で竹内が演じているのは東家の娘であり、悩める主婦の麻里役。転勤になった海洋生物学者の夫(北村有起哉)と息子(杉田雷麟)とアメリカのカリフォルニアで暮らしているが、不慣れな環境の中、真面目で理論派の夫と思春期を迎えて不登校になった息子とどう接していいかわからずに本当の自分を出せないでいる。一方、父が認知症になったことで母(松原智恵子)からたびたび実家に呼び出される妹の芙美(蒼井優)はワゴンカー"青空食堂"を切り盛りする地道な性格のしっかり者。竹内と蒼井が長女と次女の関係性やキャラの違いを実にリアルに表現している。
特に印象的なのは父のことが心配でアメリカから帰ってきた麻里と芙美が喫茶店で待ち合わせするシーン。遅れてくるのは麻里でビッグサイズのパフェを注文し、「よく、朝からそんなの食べられるね」と芙美にあきれられるが、爽やかな笑顔で美味しそうに食べる様子が可愛らしいのだ。新しい家庭を持った長女が妹の前では少女時代に戻って無邪気な顔を見せる。まるで本当の姉妹のような竹内と蒼井の共演も映画の見どころの1つだ。
■画面越しに父に悩みを告白するシーンは見逃せない
中学の元校長だった父が認知症になってからの7年間を描いた本作は涙あり、笑いあり。名優、山崎努が徐々にさまざまなことがわからなくなり、徘徊する老人をときにユーモラスに、ときに切なく演じている。そんな中、麻里が入院している父親に対し、画面越しに涙を流しながら息子の悩みを告白するシーンは、心揺さぶられずにはいられない。父親は娘のこともよくわからなくなっているのだが、麻里にとってはたった1人の父親であり、生徒の悩みに向き合ってきた学校の先生なのだ。
強い女性を演じる竹内結子もいいが、弱さをさらけ出す自然体の彼女も魅力的。「スキャンダル専門弁護士QUEEN」と合わせて見ることで、女優・竹内結子の引き出しの多さを再確認できるに違いない。
文=山本弘子
放送情報
長いお別れ
放送日時:2020年12月8日(火)21:00~
スキャンダル専門弁護士 QUEEN
放送日時:2020年12月26日(土)14:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
※放送スケジュールは変更になる場合があります
詳しくはこちら