宝塚らしい華やかさ!花組・瀬戸かずや主演『マスカレード・ホテル』

人気作家・東野圭吾の小説が宝塚でも舞台化された。2020年1月に花組で上演された『マスカレード・ホテル』である。この作品が12月にタカラヅカ・スカイ・ステージにて放送される。

都内で次々と起きる謎の連続殺人事件。残された暗号から、次なる殺人事件が起きると推定されたのはホテル・コルテシアだった。そこで警視庁捜査一課の刑事・新田浩介らはホテルマンに扮して潜入捜査を開始。

新田らの教育を任されたのはフロントクラークの山岸尚美だった。事件の解明しか頭にない浩介とお客さま第一の尚美、それぞれの仕事に対するこだわりの違いゆえに最初はぶつかり合うが、それも高いプロ意識ゆえのこと。2人はやがて強い信頼関係で結ばれていく。ところが、事件の真相への道のりは遠く、やがて思いがけない人物が巻き込まれることに...!?

2019年に封切られた木村拓哉主演の実写映画が印象に残っている人も多いだろう。映画の続編『マスカレード・ナイト』の制作も発表されたばかりである。

宝塚版『マスカレード・ホテル』で新田浩介を演じるのは瀬戸かずや。男っぽい雰囲気が売りと思われがちだが、実は守備範囲が広く、さまざまな役柄を演じてきている。未来の世界のアンドロイド役に挑んだ『アイラブアインシュタイン』(2016年)のアルバート、『蘭陵王(らんりょうおう)--美しすぎる武将--』(2018年)のトランスジェンダー的な皇帝・高緯など、個性的な役柄も印象深い。先ごろ千秋楽を迎えた『はいからさんが通る』では、原作漫画でも人気の高いキャラクターである青江冬星役を颯爽と演じてみせた。

その瀬戸がアウトローだが凄腕の刑事を宝塚風味に料理してみせる。無頼な風貌だった新田が山岸の指示に従って髪を切り服を着替え、ホテルマンとして登場するところは目が覚めるような鮮やかな変身ぶりだ。

『マスカレード・ホテル』に出演した朝月希和

~原作 東野圭吾「マスカレード・ホテル」(集英社文庫刊)~ ⓒ東野圭吾/集英社 (C)宝塚歌劇団

ホテルの仕事に誇りを持って取り組む、品格と細やかな気遣いを兼ね備えた女性・山岸尚美を演じるのは朝月希和。朝月は雪組から古巣の花組に戻ってきて本作が初の出演だったが、その後、雪組でトップ娘役就任が決まり、再び雪組に戻ることが決まっている。

新田の相棒となる能勢は原作小説とは少し違い、演じる飛龍つかさならではの若々しく愛嬌のあるキャラクターを作り上げている。また、この作品のキーパーソンともいえる長倉麻貴を演じる音くり寿は、宝塚史上に残る「怪演」と言っていいのではないか?

原作小説のイメージどおりの曲者ぶりを発揮する栗原健治(高翔みず希)、非常事態に陥ったホテルでの差配ぶりが頼もしい藤木総支配人(汝鳥伶)なども魅力的。この他にも芝居巧者な面々が演じる個性の強いキャラクターが次から次へと登場するのが楽しい。

トップスターが交代したばかりの花組はフレッシュでキラキラしたイメージが強かったが、お芝居も面白くなりそうだ。新生花組の新たな一面を見せてもらったようだった。

宝塚版は概ね原作小説に忠実な展開で、これが2時間の間にうまくまとめられている。ただ「マスカレード」にちなんだ仮面舞踏会風の華やかな場面などは宝塚版ならではの見どころだ。締めくくりも宝塚らしいときめきを感じさせてくれる。

読んでから見るか?見てから読むか?原作小説との比較もこの作品ならではの楽しみだ。

文=中本千晶

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放送情報

『マスカレード・ホテル』 ('20年花組・ドラマシティ)
放送日時:2020年12月13日(日)21:00~
チャンネル:TAKARAZUKA SKY STAGE
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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