コロナ禍の2020年に地上波TBSで特別版として再放送され、話題を呼んだ大ヒットドラマ「愛していると言ってくれ」(1995年)が1月、TBSチャンネル2で放送される。脚本はレジェンドとなった恋愛ドラマをいくつも世に送り出してきた北川悦吏子で主演は豊川悦司と常盤貴子。当時、最高視聴率28,1%を記録し、DREAMS COME TRUEによる主題歌「LOVE LOVE LOVE」も大ヒットを記録した。「懐かしい」「トヨエツ、カッコいい」などの声がSNSにあふれ、リモート時代の世代にも響いた純愛ドラマは、今見ても新鮮だ。
■第1話「出逢い」から偶然のドラマの連続!
当時、30代前半の豊川が演じているのは幼いころに聴覚を失い、声を発することもできなくなった新進青年画家の榊晃次。当時、20代前半の常盤が演じるのは劇団に所属し、アルバイトをしながら女優を目指す水野紘子だ。
表参道でリンゴを何度もジャンプして取ろうとしている紘子の姿を喫茶店から見た晃次が、その長身でスッと取って、彼女に投げるのが2人の出会い。2度目の出会いは井の頭公園。キャンバスに向かう晃次を見かけた紘子が「空を描いた青がきれいだ」と話しかけると、晃次は使っていたセルリアンブルーの絵の具を投げて渡す。耳が聞こえないことを知らない紘子は謎めいた魅力を持つ晃次のことが次第に忘れられなくなっていく。やがて、もっと相手のことを知りたいという一心で手話を勉強するが、晃次が突然、姿を消したことで紘子は手掛かりを失ってしまう。そして3度目の出会いは線路を挟んだホーム。電車が来る前に気づいてもらうため、今度は紘子がリュックから鍵の束を取り出し、向かいのホームに投げるのだ。
幼少期の辛い思い出が影を落としている、繊細でシャイな画家を豊川が表情豊かに演じ、当時の女子たちはそのセクシーさと透明感に夢中に。あどけなさが残る常盤貴子の真っすぐでおっちょこちょいな猪突猛進型ヒロインっぷりも視聴者をドキドキさせた。当時、10代だった矢田亜希子が豊川の妹役を演じていたり、『逃げ恥』にも出演した岡田浩暉が常盤に想いを寄せる劇団員役だったり、画廊のマネージャー役が余貴美子だったりと、2人を取り巻くキャストたちの25年前に触れられるのも楽しみの1つだ。
■2人の純愛を加速させるノスタルジックなアイテムたち
近づいたと思ったら、すれ違い、誤解によって離れたりと視聴者をもどかしい気持ちにさせ、虜にしたのが本作でもある。耳が聞こえないことを除いても、携帯電話が普及していない時代に描かれたからこそ、生まれる感情やドラマがある。
デートをする2人の待ち合わせ場所が緑の公衆電話の前だったり、紘子が誤解を解きたいと思って、コンビニから自分の気持ちを綴ったFAXを送ったり、晃次がPCではなくワープロで文章を書いて紘子に伝えたりと、今ではアンティークになってしまった通信アイテムたちが胸の高鳴りやもどかしさを加速させるのだ。
時代の恐るべき進化に思いを馳せつつ、紘子がショーウィンドウ越しに"欲しいなぁ"と眺めているFAXの値段が12万5千円であるなど、当時を知っている人も知らない人も再発見や驚きに満ちたシーンが盛りだくさん。2人の恋の結末、視聴者を感動の渦に巻き込んだ最終回まで見逃せない。
文=山本弘子
放送情報
愛していると言ってくれ
放送日時:2021年1月3日(日)10:00~
チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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