純愛が胸を打つ...窪田正孝がボクサー役に挑んだ映画『初恋』

昨年に放送されたNHK朝の連続テレビ小説「エール」が好評のうちにフィナーレを迎えるなど、注目を集める俳優・窪田正孝。2006年に俳優デビューを果たした彼は、これまでドラマ、サスペンス、アクションなど幅広いジャンルの作品に出演。カメレオン俳優との呼び声も高く、作品ごとに多様な顔を見せている。

窪田は、「自身の転機となった作品」として、しばしば2008年のドラマ「ケータイ捜査官7」の名を挙げているが、そのシリーズ監督を務めたのが三池崇史監督だ。新人だった当時、オーディションに落ち続けていたという窪田にとって、このドラマの撮影で得たものはとても大きかったようだ。その後も窪田は、三池監督が手がける2010年の映画『十三人の刺客』や、2011年のドラマ「QP」などに出演することはあったが、主演俳優として三池監督とガッツリとタッグを組むことになったのが、2020年の映画『初恋』である。この作品が5月1日(土) 東映チャンネルで放送される。

『初恋』に出演した窪田正孝、小西桜子

(C)2020「初恋」製作委員会

往年の東映ヤクザ映画のスピリットを現代によみがえらせた2018年の『孤狼の血』の成功により、さらにその路線を深化させようということで企画された本作。オリジナル脚本で描かれる物語は、欲望渦巻く歌舞伎町の繁華街で出会った孤独な男女が、ひょんなことからヤクザ、チャイニーズマフィア、警察組織が入り乱れた"ブツ"を巡る争いに巻き込まれるさまを描き出している。大森南朋、染谷将太、ベッキー、ベンガル、塩見三省、内野聖陽ら強烈な個性の共演者たちによる熱演・怪演も話題となった。同作は2019年には第72回カンヌ国際映画祭「監督週間」でワールドプレミアとなり、上映後は海外の観客からも「ブラボー!」と称賛をもって迎えられた。

窪田が演じるのは、余命いくばくも無いと知らされ、自暴自棄となっているプロボクサーのレオ。感情を表に出さず、拳のみで生きてきた不器用な男だ。これまで多くのアクション作品に出演するなど、身体能力の高さを誇る窪田だが、ボクサー役に挑むのは本作が初。彼はボクサーとしての肉体作りを行うため、撮影の1カ月前からほぼ毎日ジムに通い、準備を行った。現役のボクサーを相手とした試合のシーンも彼が自ら演じており、迫力のシーンとなっている。

(C)2020「初恋」製作委員会

本作のヒロインは、不遇な家庭環境から、ヤクザに身売りされ、とらわれの身となった少女モニカ。天涯孤独だった主人公レオは、ひょんなことからモニカを助けることとなり、2人で逃避行を始めることとなる。そんなモニカには、過酷な状況に身を置きながらも、純粋さを感じさせる存在が求められたため、オーディションを敢行。約3000人の応募者の中から新人・小西桜子が選出された。そのため、本作での窪田には、主演として作品を引っ張っていくと同時に、それまで演技経験があまりなかったという小西をサポートする役割もあった。その役割を任されたのも、三池監督からの、窪田への絶大なる信頼感ゆえだろう。

三池監督はモニカという役をキャスティングするにあたり、演技のうまさよりも、小西の内側から生まれてくるものを大事にしたという。そのため、小西から、モニカの感情を引き出すために幾度となくテイクを重ねることもあった。だが、そんな時でも窪田は温かく受け止め、彼女をサポートし続けた。限界を超えることを求める三池監督に、必死に食らいつこうとする小西の姿に「彼女を見ていると、まるで10年前の自分に戻れる感じがした」と語った窪田。小西もインタビューなどで「窪田さんは優しくて、わたしが気負わずにいられる空気を作ってくださって、ものすごく心強かった」と振り返っている。

そのかいもあって、凶暴さに彩られた世界の中で「純愛」を貫こうとするレオとモニカの姿はどこまでもまっすぐで、すがすがしいものがある。

文=壬生智裕

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放送情報

初恋
放送日時:2021年5月1日(土)20:00~
チャンネル:東映チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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