吉岡里帆が舞台『白昼夢』で得た経験「人の弱さを表現するために自分が強くならなくては」

撮影:宮田浩史

「自分がファンで見ていた世界のカンパニーの一員になれると思うと、うれしいと同時に急に怖くなりました。完走した今は、夢を見ていたのかな?という感覚になることがあるんです」と語る吉岡里帆さん。

衛星劇場でテレビ初放送される舞台「白昼夢」で、赤堀雅秋が手掛ける作品への出演を果たした。

撮影:宮川舞子

「赤堀さんの作品は(脚本・監督を務めた)映画『その夜の侍』('12年)も映画『葛城事件』('16年)も人間の不器用さが渦を巻いている感じがいとおしくて。舞台作品もそうですが、危機的な状況に陥っている登場人物がこじれていく感じを少し肯定するところも共感でき、好きになりました」

「白昼夢」では引きこもり中年の次男(荒川良々)と暮らす父(風間杜夫)、家庭を持つ長男(三宅弘城)の一家に、引きこもり支援団体員として赤堀本人が演じる別府と共に介入する石井を演じた。

「想像以上に稽古は大変でした。内容もこういう時期にあえて、分かりやすい楽しいものではなく、人間の営みを丁寧に描くテーマだったので、自分でも自分のことを追い込みました。石井は心に闇を抱え、繊細で弱い人間ですが、弱さを表現するのって、自分がこんなに強くならなきゃいけないんだ!と(笑)」

撮影:宮田浩史

ただ、赤堀をはじめ、ベテランの共演陣の叱咤激励に支えられたと振り返る。

「風間さんは『結末に向け、あなたが空気をつくっていくんだから、もっとギアを入れないとできないよ』とおっしゃってくださって、すごく勉強になりました。荒川さんは『難しく考え過ぎると沼にハマるから、負けるもんかって、カラっとしているくらいでいいと思うよ』って。三宅さんは、私が赤堀さんにダメ出しされて悩んでいたら『おいしいおにぎりあるけど、食べる?』って声掛けてくださいました。まるで昔話みたいですよね(笑)。でも、すごくうれしかったです」

家の中で繰り広げられる濃密な人間関係を、本多劇場という席数400人未満の小劇場で演じ切った。

「家の中という密室空間で閉塞感がどんどん増していく...場面転換をしない家の美術セットを含め、本多劇場の狭い距離感で作ることを赤堀さんも念頭に置かれていたので、その距離感を映像でも味わってほしいです。映像なら、本多劇場の一番前で見ている人の気持ちで、細かい表情や動きを、細部まで感じていただけるんじゃないかと思います」

撮影:宮田浩史

取材・文=magbug スタイリスト=圓子槙生 ヘアメーク=渡辺了仁(Carillon) 衣装協力=No.21、PATOU

よしおか・りほ●'93年1月15日生まれ、京都府出身。ドラマ「きみが心に棲みついた」('18年、TBS系)、「レンアイ漫画家」('21年、フジテレビ系)や映画「見えない目撃者」('19年)などに出演。舞台への造詣も深く、9月から劇団☆新感線41周年興行「狐晴明九尾狩」に客演予定。

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放送情報

M&Oplaysプロデュース「白昼夢」
放送日時:2021年7月11日(日)17:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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