『64-ロクヨン-前編/後編』(2016年)など重厚な群像劇に定評がある瀬々敬久監督のもと、佐藤健が連続殺人事件の容疑者役を演じて新境地に挑んだヒューマン・ミステリー『護られなかった者たちへ』が10月1日(金)より公開となる。それに合わせ、映画の見どころを徹底分析する「映画『護られなかった者たちへ』公開記念特番」が9月23日(木)に衛星劇場にて放送。佐藤をはじめとする実力者ぞろいの俳優陣のインタビューや、撮影現場のメイキング映像がたっぷり収められている。
「このミステリーがすごい!」受賞作家・中山七里の傑作小説を映画化した本作。東日本大震災から10年目の仙台で、全身を縛られたまま放置され、"餓死"させられるという不可解な殺人事件が相次いで発生。被害者はいずれも、誰もが慕う人格者だった。捜査線上に浮かび上がったのは、別の事件で服役し、刑期を終えて出所したばかりの利根(佐藤)という男。刑事の苫篠(阿部寛)は、殺された2人の被害者から共通項を見つけ出し、利根を追い詰めていくが、決定的な証拠がつかめないまま、第3の事件が起きようとしていた...。
瀬々監督は、『8年目越しの花嫁 奇跡の実話』(2017年)でタッグを組んだ佐藤の才能に惚れ込み、「芝居に取り組む姿勢がすばらしい」と彼の役者魂を大絶賛。制作陣の信頼厚い佐藤には、プロットの段階から利根役がオファーされた。
これまでにも、あらゆる作品で圧倒的な存在感を発揮してきた佐藤。約10年にわたって主演を務めてきた『るろうに剣心』シリーズが今年で完結し、また新たなステージへと踏み出した彼だが、本作では殺人事件の容疑者というこれまでにない役柄にチャレンジ。鋭さと切なさが溶け合うような目をした利根を気迫と共に演じ、見る者を釘付けにする。
利根はあらゆる苦しみを経験したうえ、殺人事件の容疑者になってしまう...という難役だ。佐藤は「不器用で、熱くなったら止められない人」だと、役柄を分析。瀬々監督やプロデューサー陣とディスカッションを重ねながら、役作りに挑んだという。
孤独、怒り、そして、涙――深い悲しみを抱え、容疑者として追われ続ける利根を通して、佐藤の見たことのないような表情を観客は目撃することになる。利根が泥水に顔を浸しながら絶叫する場面では、共演者に遠慮なく泥水に押し倒してほしい、と自ら提案したそうで、彼の芝居の熱量と役への理解度に驚くようなシーンとなっている。
またどこに目を向けても、実力派ばかりが顔を揃えている点も本作のすごいところ。利根を追う刑事・苫篠を演じるのが阿部で、佐藤と阿部の演技合戦は大きな見どころだ。そして現在放送中のNHK連続テレビ小説「おかえりモネ」で注目を集めている清原果耶の繊細な感情表現も、胸を打つ。
"震災"と"生活保護"という難しいテーマを真っ向から描き、ミステリーとしての面白さはもちろん、リアリティとドラマ性を追求した本作。"護られなかった者たち"というタイトルに込められた意味は、今を生きる誰にとってもきっと胸に突き刺さるものだ。俳優陣の名演と共に、衝撃と感動のラスト、そしてその先に見える希望を届けるような映画となっている。
文=成田おり枝
放送情報
映画「護られなかった者たちへ」公開記念特番
放送日時:2021年9月23日(木)18:15~
チャンネル:衛星劇場
放送日時:2021年9月25日(土)19:45~
チャンネル:ホームドラマチャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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