2021年夏クールのフジテレビ系ドラマ「彼女はキレイだった」にSexy Zone・中島健人と主演し、話題を呼んだ小芝風花。
そんな小芝が主演し、2020年10月に放送された単発ドラマ「書類を男にしただけで」が、10月にTBSチャンネルで放送される。TBSドラマでは初主演作となった作品で、「男性」として採用試験を突破して、大企業にエリートとして入社することになった女性の奮闘と恋を描く"社会派ラブコメディ"という触れ込みの異色ドラマだった。
小芝演じる主人公の箕輪祐希は、広告代理店に勤務していた。ある日、上司の加藤(袴田吉彦)のセクハラに怒り、彼を得意の柔道技で成敗してしまった。ところが、逆切れした加藤によって会社をクビになってしまう。転職活動してみるものの不採用の嵐。おまけに失恋もして悲惨な毎日を送っていた...。
ただし、そんな中でも最終選考まで通過した1社があった。しかもその企業は広告業界最大手である「インサイトエージェンシー」。祐希は勇んで同社の最終選考でもある健康診断を受診したところ、なんと自分の性別が男性として登録されていたのだ。担当医師の柏木未来(高橋メアリージュン)から、「女だって言ったら落とされるよ」と言われた祐希は、「男で天下取ってやる!」と決意。男性だと偽ったまま、同社に入社することを決意した。
身分を偽った主人公というのは、昭和の頃からコメディドラマの定番の1つではあった。「教師と生徒が夫婦であることを隠して学園生活を送る」とか、「本当はエリートである身分を隠して平社員として入社する」などのパターンはあったが、「性別を偽る」という設定は多くない。ダスティン・ホフマン主演の映画「トッツィー」は、売れない男性俳優が女性だと偽り、女優として成功する物語だったが、本作でも「男性」として入社したヒロインが、バリバリ働いて活躍していく点などは、「トッツィー」を思わせて痛快だ。
この手のコメディは、主人公と秘密を共有する視聴者が、その秘密がバレそうになって、ドタバタする様子を楽しめる。ただし、本作では、そんなドタバタ場面もあることは確かだが、どちらかと言うと社会派ドラマとしての側面が際立っている。女性であるがゆえに活躍の場が制限されるなど、働く女性の悩みを描くあたり、コメディながらも問題意識を提示してくれる作品だ。
物語は、ヒロインの恋も描いているが「本当は女性」なのに、会社の同僚である彼の前では「男性」として振舞っているために進展のしようがない。そんな苦悩も見どころとなるが、こんな微妙な心象を表現する演技はまさに小芝の真骨頂で、見応え十分だ。
本作の共演者は、ヒロインが恋心を抱くコピーライターの杉田役の竜星涼をはじめ、水沢エレナ、奥野壮、デビット伊東、友近といった個性豊かな俳優陣が顔をそろえている。
仕事と恋に一途な主人公という点では、ファッション雑誌の編集部を舞台にした「彼女はキレイだった」と共通する点もあり、同作を見ていた人には、小芝の演技を見比べて楽しんでみるのもいいだろう。
文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)
放送情報
書類を男にしただけで
放送日時:2021年10月17日(日)20:00~
チャンネル:TBSチャンネル1 最新ドラマ・音楽・映画
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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