鈴木おさむさん×田中圭さんによる舞台「もしも命が描けたら」。2人がタッグを組む舞台は3作目となった。
「最初におさむさんと組んで舞台をやった時もものすごいせりふ量でしたが、それを毎回更新してくるんです(笑)。今作は膨大なせりふを4日間で覚えて稽古期間も1週間。"人間、追い込まれるとなんとかなるんだな"と思いましたね。おさむさんは毎回『芝居云々じゃなく"田中圭"が見たい』と言って当て書きしてくれます。僕もご一緒するたびになんとか見せたいと思っているんですが...」
田中さんが演じた星野月人は、画家になる夢を持っていたがそれを諦め、生きることさえも諦め自らの命を絶とうとする。
「おさむさんは僕が月人にピッタリだと言うんですが、自分としては全く共通点がないと思っていて。おさむさんは僕の中にある何かを見せたいのでしょうが、僕自身ができる役へのアプローチは特になかったんです。舞台を通してその世界に生きれば、自然と月人になるというか。なので役については深く考えてはいませんでした。僕もおさむさんも、作品を見てくださった方に伝えたいメッセージはおぼろげにありますが、皆さんに委ねたいと思っています」
コロナ禍での上演ということもあって、これまでにない感情を抱いたそう。
「月人という役を通して、自分でも気付かないような感情に出会えたなと思っています。普段の僕は、お芝居をする上で役者としての"田中圭"はどうでもいいと思っていて。自分の見られ方だとか、こういう芝居をするみたいな主張はないし、気にもしていなくて、あくまでも役や作品が良いものになればいいなという気持ちが強いんです。でも今回はこういうご時世というのもあって、この作品を通してエンタメの楽しさや、人生を楽しく生きることを伝えたいなと思いました。僕は自分のことを"楽しくハッピーにすることに特化している人間"だと思っているので、役者・田中圭の思いが、お芝居を通して見てくださる人に伝わったらうれしいです」
大活躍の1年。しかし、自身は思うところがあったようで......。
「実は、自分的には大変な1年で、結構暗黒期でした。というのも、自分自身の芝居に飽きていたんです。でも仕事は楽しいし、それを楽しみに待っていてくれる人もいるし、僕が僕に飽きている場合じゃないよなと思って自分を鼓舞していました。なので来年は、ものすごい1年になると自分では思っています(笑)」
たなか・けい●'84年7月10日生まれ、東京都出身。ドラマ、映画、舞台で活躍し、'18年にドラマ「おっさんずラブ」(テレビ朝日系)で大ブレーク。'21年も映画『総理の夫』『そして、バトンは渡された』など出演作多数。12月10日(金)にW主演の映画『あなたの番です 劇場版』が公開予定。
撮影=宮田浩史 取材・文=横前さやか スタイリスト=山本隆司(style³) ヘアメーク=花村枝美(MARVEE)
放送情報
舞台「もしも命が描けたら」
放送日時:2021年12月12日(日)17:30~
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合がございます
詳しくはこちら