初主演映画『魔女の宅急便』(2014年)でスクリーンデビューした小芝風花は、同作でブルーリボン賞新人賞を受賞。以降もドラマにCMに映画と途切れることなく出演し、存在感を発揮している。
ここ数年の活躍は特に目覚ましく、「トクサツガガガ」(2019年)で連続ドラマ初主演に抜擢されてから、立て続けにドラマの主演を務めている。2021年は、ドラマ「モコミ~彼女ちょっとヘンだけど~」「彼女はキレイだった」や、さまざまな」CMキャラクターも務め、テレビや街中で見かけない日はないほど。まさに実りある飛躍の年となり、今注目の若手女優と言えるだろう。
そんな小芝の民放連続ドラマ初主演作となった作品が「妖怪シェアハウス」(2020年)だ。
本作は、やりたいこともないまま就職していずれは社内結婚と甘く考えていた主人公・目黒澪が、恋したダメ男に騙されて職なし家なし一文無しのどん底状態に陥るところから始まる。たどり着いた先のシェアハウスに住むお節介な妖怪たちが、トラブルや厄介な相手を過激に成敗する、というスカッと爽快感あり笑いあり涙ありの痛快コメディだ。個性的な妖怪役で松本まりか、大倉孝二など演技派俳優陣も出演し、ユニークな世界観に一役かっている。
主演を務める小芝は、周りに助けられながらも少しずつ成長していく澪を体当たりで生き生きと演じた。妖怪が都内で暮らしているという奇想天外な設定だが、やりすぎ感も嘘っぽさもない澪の素直なリアクションがファンタジーの世界と視聴者をつないでくれている。少し変わった世界観とも親和性が高い。澪が嫌味のないキャラクターとなっているのは、小芝の持つ空気感がなせるものだろう。
また、本作は、自分に自信がなく、人に嫌われることを極端に恐れて空気を読んで生きてきた主人公の成長ストーリーでもある。思わず手を差し伸べたくなる小動物のような小芝の可愛らしさに惹かれ、自分の力で頑張ろうとする健気な姿を見ているとついつい応援したくなってしまう。妖怪たちに保護者のような親心が芽生えるのも頷ける。彼らの優しさたっぷりの愛情を受けて回を重ねるごとに前向きに自由になっていく澪に、こちらも釣られて明るい気持ちにさせられる。
自由気ままな妖怪たちに振り回される役で魅力を発揮した小芝。またさらなる飛躍が期待される小芝の愛すべきコメディエンヌぶりは、本作でたっぷりと楽しめるはずだ。
文=中川菜都美
放送情報
妖怪シェアハウス
放送日時:2022年1月5日(水)23:00~
チャンネル:テレ朝チャンネル1 ドラマ・バラエティ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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