バカリズム脚本の面白さが凝縮！永野芽郁、広瀬アリスのギャップも新鮮なOL戦国絵巻

独特な世界観で展開されるネタや感性あふれる鋭いコメントで、芸人・タレントとして幅広く活躍しているバカリズム。その一方で、完全オリジナル脚本で挑んだ最新作『ウェディング・ハイ』が公開されるなど、脚本家としてのキャリアも絶好調だ。

今や作品を発表するごとに脚本家としての評価を高めるバカリズムだが、自らがOL役として主演も兼ねてリアルなOLライフを描いた映画『架空OL日記』(2017年)では、第36回向田邦子賞を受賞。「女心がわかりすぎている」「どうかしている」と多くの話題を巻き起こしたことも記憶に新しいが、そこで発揮した"OL観察力"をさらなる世界へと注ぎ込んだのが、唯一無二のバカリズムワールドが凝縮された『地獄の花園』だ。

花園のようにも見える華やかなOLたちの職場の裏では、地獄のような派閥争いが行われているとしたら...という独自すぎるアイデアのもと、永野芽郁、広瀬アリスら人気女優による、ぶっ飛んだOL戦国絵巻を描き上げた。

主人公となるのは、とある企業・三冨士の営業部に勤める直子。普通のOL生活に憧れる彼女だが、職場ではヤンキーOLたちの苛烈な派閥抗争が繰り広げられていた。ある日、営業部にカリスマヤンキーOLの蘭が中途採用で配属される。蘭はその圧倒的な強さで社内のヤンキーOLたちを制し、たちまち頂点に立つ。そんな中、一部上場企業・トムスンを牛耳る総務部の年長OL・赤城が直子を誘拐。蘭は直子を救うべく、指定された場所へ乗り込んでいく。

直子役に抜擢されたのは、今もっとも若い女性から支持を集める女優の一人、永野芽郁。トーク番組やイベントでは朗らかな笑顔でいつも周囲を和ませている彼女だが、本作では可憐で真面目なOLでありながらも、ある瞬間にはブチギレ台詞、ガン付け顔を披露する直子役を見事に演じきり、ギャップあふれる魅力で観る者を釘付けに。永野が体当たりで挑んだ壮絶なアクションにも驚かされる。

また直子と次第に友情を育んでいくカリスマヤンキーOLの蘭を演じたのは、近年はコメディエンヌとしての才能も開花させている広瀬アリス。トレードマークのスカジャンを颯爽と着こなし、敵キャラを眼光鋭くにらみつけ、ボッコボコに殴り倒していく姿が最高にかっこいい。

さらに通称"悪魔の朱里"として恐れられているOLに扮した菜々緒は、奇抜メイク＆編み込みヘアのビジュアルもインパクト大。キレると手が付けられない"狂犬 紫織"を川栄李奈、名バイプレイヤーの遠藤憲一は網タイツ＆ミニスカでヤンキーOLに変身、小池栄子はラスボスの貫禄たっぷりに登場するなど、画面の隅々までどこを見ても強烈で面白いキャラクターばかり！それぞれが振り切った演技で、大いに楽しませてくれる。

ヤンキーOLたちのガチな戦いぶりはもちろん、女同士の友情やそれぞれの胸に秘めていた葛藤が明かされていく展開も観客を飽きさせない。ヤンキーの見た目をしながら普通のOLとして繰り広げる会話劇も、バカリズムの脚本家としての技が光る場面。今をときめく俳優陣がバカリズムワールドで暴れまくる姿は、何度見ても新鮮な面白さに溢れている。

文＝成田おり枝

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