惜しまれながら2017年の2月に芸能界を引退した堀北真希。彼女が結婚後、初めて主演を務めた連続ドラマが「ヒガンバナ~警視庁捜査七課~」だ。皮のライダースに黒のスリムパンツにブーツ、いつもヘッドホンをつけているヴィジュアルも話題となった本作で、堀北が演じているのは相手が誰であろうとズバズバ斬り込んでいく刑事役。女性犯罪者と女性被害者対策を目的に設置された女性だけの非公式の課「警視庁捜査七課」の一員であり、少女時代に父親を殺害された過去を持つアウトロー的役柄だ。堀北の人気が大ブレイクした映画『ALWAYS 三丁目の夕日』の素朴なイメージが印象に残っている人も多いと思うが、刑事・来宮渚役は真逆と言っていいほどの毒っ気たっぷりのキャラ。上司の峰岸(檀れい)との名コンビっぷりも際立っている。
■堀北演じる特殊能力を持つ毒舌刑事のカッコよさ
来宮渚がヘッドホンをしているのは周りの人間の心の中の声がノイズのように聞こえてしまうから。その能力は事件現場に立つと発揮され、ヘッドホンを外すと殺害された人間や加害者の感情や言葉が聞こえてきて、頭を抱えてその場に倒れこんでしまう。決め台詞は「シンクロしました、私」。最初は引いていた峰岸も一粒の涙を流して渚が残す言葉と特殊なシンクロ能力を信じるようになる。そんな渚に近づいてくるのがフリージャーナリスト、謙人(DAIGO)で何かと詮索されると「疲れてんだよ。ネタなんかねーし」と一喝。熱血で乙女な峰岸のことを捜査中におばさん呼ばわりし、峰岸にも「クソガキ」と言われるほどの生意気刑事だ。疲労回復のために飲んでいるのは山羊汁で、その強烈な匂いが優秀でクセモノ揃いの七課の女たちをいつも閉口させている。ちなみに第2話では捜査のために女子高校生に扮することになるのだが、普段のハードなスタイルから一変、制服にメガネ姿の堀北のかわいさにも注目だ。
■ポーカーフェイスが崩れる瞬間の堀北の表情も魅力的
相手をわざと挑発して怒らせ、本音を引き出すのが渚のやり方。思いついたことがあると無言で課を飛び出し、放っておけない峰岸は自然とバディのような存在になる。誰ともつるまず容赦のない渚だが、事件に巻き込まれた子供にキツいことを言いながらも、親を思う気持ちに触れ、微笑みながら頭を撫でたりと時々見せる優しい顔に彼女の人生を重ね合わせずにはいられない。そして本作のキーポイントになっているのはチャラチャラしているように見えて、謎めいた顔を持つ謙人と渚の関係。回が進むにつれて渚も知らなかった衝撃の事実が明かされ、見たことがないぐらい感情を爆発させ、泣き崩れるシーンは堀北の演技の振り幅の大きさの見せ場といっていいだろう。正義感が強い性格ゆえに空回りし、容疑者にまでバカにされる峰岸のコメディエンヌっぷりは捜査一課と対立しながらも女ばかりで犯人を暴いていくドラマの癒しのポジション。そんな峰岸を「優等生かよ」とウザがりながらもなんだかんだ頼りにしている渚とのサバサバした凸凹バディっぷりが好感度大だ。
文=山本弘子
放送情報
ヒガンバナ~警視庁捜査七課~
放送日時:2022年6月15日(水)6:00~
チャンネル:ホームドラマチャンネル 韓流・時代劇・国内ドラマ
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