藤原竜也と言えば、不条理な状況に追い詰められ「どうしてなんだよ!」と叫ぶような巻き込まれ型の主人公を多く演じているが、この作品の鷹野はクールでシニカル。自分の感情をコントロールできない田岡が、心臓に爆弾を埋め込むような非人間的なシステムに憤慨しても「大丈夫だ、死ぬときは一瞬で終わる」と冷静になだめる。さまざまなキャラクターをリアルに演じられる藤原の演技力の高さが改めて感じられる。一方、竹内涼真は思い切りの良い感情豊かな演技で、見る人の共感を呼ぶ。現在放送中の「六本木クラス」(テレビ朝日系)で演じているのはどちらかというと受け身の主人公だが、田岡は組織に対しても、そして、その背後にうごめく利権まみれの政治家に対してもまっとうな怒りを表現し、見ていて応援したくなる。
原作の吉田修一と羽住組が組んだ作品だけに、単なるアクション・サスペンスではなく、日本の政治の暗部にまで切り込んでいく展開も見応えがある。吉田鋼太郎がキレキレの芝居で熱演する永島は、もともと政治のしがらみを正そうと思っていたが、日本を陰で支配する強大な力に追い詰められてしまう。永島の言うことがどれだけ現実に即しているかは分からない。しかし、私たち一般市民が知らないうちに政治を動かす人々がなんらかの勢力に絡め取られているのではと危惧せざるをえない昨今、このストーリーは心に響くはずだ。
文=小田慶子
放送情報
太陽は動かない -THE ECLIPSE- #1-6
放送日時:2022年8月20日(土)17:40~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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