まるで江戸時代版ロミジュリ!藤沢周平原作の「蝉しぐれ」で内野聖陽が見せた色男モードの破壊力

内野聖陽は、このとき35歳。真面目な性格だが内に熱い正義感を秘めた役どころを熱演している。文四郎が自分を慕うふくから「文四郎様...!」と抱きつかれ、恋情に襲われて耐えるように目を細めながらそっと彼女の肩を抱く場面も様になる。何より、文四郎が藩の上層部の権力争いから理不尽な目に遭うものの、やがて実力を認められていく様子を応援したくなるのは、内野が現代のサラリーマンの立場にも通じるこの役を真摯に演じているからこそだろう。

また、文四郎は藩にある剣術道場のエースであり、席次1位。秘剣村雨(ひけんむらさめ)という技を伝授されるほどの腕前で、徹底した役作りをする内野だけに、殺陣を相当やり込んだようだ。そして、この後、大河ドラマ「風林火山」(2007年NHK総合)に主演するなど、内野が時代劇で活躍する時代が続いていく。

内野演じる文四郎がロミオなら、ジュリエットに当たるふく役の水野真紀も、情感たっぷりの表情で好演。約20年前の作品で、大河ドラマ『鎌倉殿の13人』(2022年NHK総合)で怪演を見せた佐藤二朗、人気脚本家の宮藤官九郎、映画監督の塚本高史が脇役で出演しており、彼らの若い頃の姿が見られるのも"お宝映像発掘"というノリで楽しめる。

文=小田慶子

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放送情報

蝉しぐれ(全7話)
放送日時:2022年9月19日(月)12:00~
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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