――今回の役を演じる上で意識したことは?
「この映画は家族の物語なので、向田家という一つの家族を僕ら3人が家族としてちゃんと見せられないといけないな、と。そうじゃないと、和昌が突然仕事を辞めて帰って来るということも"家族にとっての大きなこと"として描くことができないと思ったので、"僕ら3人がしっかりと家族に見えるように"というところは大事にやりたいなって思って撮影に臨みました」
――父親役の高橋さん、母親役の富田さんとの共演については?
「『しっかり家族に見えないといけない』と思っていたので、正直撮影が始まる前はちょっとドキドキしていたんです。でも、初日から(高橋)克実さんは本番以外でも威厳のある父親でいてくださって、康彦と和昌の微妙な距離感を作ってくださったので、和昌としてすんなり入ることができました。一方、富田さんは本当に優しい包容力しかない母ちゃんでいてくださって、本番以外でも"今後、役者としてどうするか"とか"人生の話"とかいろんな話をしてくださいました。そういった普段のやり取りが家族のシーンの細かいところに反映されていたなと思います」
――特に注目してほしいポイントは?
「やはり人と人との繋がりの大切さを感じていただけるとうれしいです。向田家はもちろん、他の家族も含めた"家族愛"だったり、近所の人との繋がりであったり、撮影に協力してくださった福岡・大牟田市の皆さんとの繋がりもそう。この作品は大牟田市の方々に全面的に協力していただいて作った作品なんですけど、出来上がった作品を観たら(大牟田市民の)エキストラさんを含めて皆さんをすごくフューチャーするようなカットが入っていて、『そこ(協力してくれた大牟田市の皆さんとの繋がりを大切に描くこと)は監督がまず一番にやりたかったことなのかな』って感じました」
――和昌は康彦から背中を押される印象的な言葉をもらいますが、白洲さんが父親からもらった印象的な言葉は?
「『何があっても味方だから』という言葉ですね。母親はよくそういうことを言ってくれるんですけど、親父からそういう言葉をかけられたことはなかったので、その時はすごく嬉しかったです。恥ずかしさもありましたけど、改めて親の愛を感じた瞬間でもありました」
――大きな決断をした和昌ですが、白洲さんにとっての大きな決断は?
「それは間違いなくこの業界に足を踏み入れたことですね。きっかけとなったオーディションは母親の友達から薦められて参加したので、近所の公園で書類審査に必要な写真を嫌々撮ったんですけど(笑)。そうして事務所に入ることになって、人前に出るのとか嫌なタイプの自分としては一番遠い場所だったんですけど、他にやりたいこともなかったので、遊び半分くらいの気持ちで挑戦してみようかという感じだったのですが、完全に人生が変わったのであれは大きな決断でしたね」
――最後にファンの方、作品をご覧になる方にメッセージをお願いします!
「まずは軽い気持ちで観に来てくださったらうれしいなって思います。家族の物語なので皆さんに感動していただけるようなシーンもあるのですが、笑っていただけるシーンもありますし、大なり小なりいろんな事件も起こって飽きることなく楽しんでいただけると思うので!そして観終わった後に、家族や自分の大切な人にちょっとでも会いたくなるような感情になってもらえたら、僕らは本当に作った甲斐があるなと思っております。ぜひ、大切な人と観てくれたら嬉しいです!」
取材・文=原田健 撮影=皆藤健治
放送情報
映画『向田理髪店』
10月14日(金)全国公開
※10月7日(金)に福岡、熊本先行公開
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