拳銃を奪われた責任を取って警察を辞めた清水は、ホステスの節子のもとに身を寄せ、ぼんやりとした生活を送り始める。一方、拳銃は阿久根が動物園のゴミ箱に捨てた後、その場に居合わせた出水の手に渡る。出水は自分を殴った石森を恨んでいて、拳銃を持ち復讐のため札幌に向かう。しかし佐伯の前で1発発砲したことがきっかけとなり、ついに清水も動き出す。
絶妙の構成で描き出される人間模様の中で、沢田は印象的な演技を見せてくれる。拳銃を奪われたことをなじる新聞記者にビールをぶちまけながら語るセリフには怒りとイラつきがあり、無精髭を生やし"ヒモ"として鬱屈した時間を過ごす清水の姿もよく似合っている。落ち着いた甘い声で節子と語らうシーンでは、清水という男の体温さえ感じられるほどだ。
そして拳銃の行方を追い始めた清水を、沢田は覇気に満ちた言動で演じ切る。物語の序盤では冴えない雰囲気を漂わせていた清水が、別人のようになって拳銃奪還に向けて走り出す。群像劇というスタイルのため、沢田が画面に登場している時間は決して長くはないが、その中でも清水という男の思いと人柄を体現しているといえるだろう。
小林克也が演じる阿久根や、柄本明が演じる蜂矢なども良い味を出していて、それぞれの人物や生き様がよく伝わってくる。それらが重なり、絡み合いながら軽快に物語が進むため、気づけば夢中になって見てしまっている。そんな不思議な魅力がこの映画にはあるのだ。
清水らが織りなす物語はどこへ行き着くのか?沢田をはじめとする俳優たちの演技を楽しみながら、ぜひその結末を見届けてほしい。
文=堀慎二郎
放送情報
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放送日時:2022年11月7日(月)21:00~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
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