有名すぎる原作小説の見事な2次元化。岡田准一、鈴木亮平、山田涼介が新選組の人気キャラクターを演じる映画『燃えよ剣』

岡田准一はこの映画への出演が決まる前から、いつか土方歳三を演じると予感していたそうだ。実在の土方と体格もほぼ同じで、それだけに田舎で頬かむりして猫のような足取りで歩いていた時代から、だんだんと武士らしい威厳を身につけていき、最後に髷を切って洋装の将官となるまでの姿が全てハマっている。武芸の達人として自ら殺陣の指導もし、ハイスピードで高度な剣げきアクションを実現した。

沖田役の山田涼介も小説から抜け出してきたかのようなハマり役。普段は無邪気でおしゃべりが達者、土方にとっては唯一、心を許せる弟のような存在を好演している。沖田は剣の天才でありながら結核を発症しやせ衰えていくが、そんな様子を８kg減量して演じたという。そして、鈴木亮平もおおらかでカリスマ性のある近藤勇をさすがの貫禄で体現している。ちなみに撮影は大河ドラマ「西郷どん」に主演した直後で、増やしていた体重を27kgも減量したとのこと。芹沢鴨役の伊藤英明、斎藤一役の松下洸平、徳川慶喜役の山田裕貴も、原田監督の演出の下、歴史上の人物としてリアリティのある演技を見せている。架空の人物であるヒロインのお雪は、柴咲コウが演じているだけに、小説より現代的な女性になっていて好感が持てる。

原作小説の愛読者であればあるほど楽しめる本作。逆に幕末という時代や新選組についての知識がないと、ダイジェストのようにどんどん進んでいく展開についていけない。本作の劇場公開時、映画館で見て今ひとつ理解できなかった人もぜひ、もう一度じっくりと放送で見てみてほしい。

文＝小田慶子

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