昭和初期に活躍した人気作家・川口松太郎は、時代小説や大衆小説の傑作を数多く残し、第1回直木賞の受賞者としても知られる。映画も大ヒットした「愛染かつら」が代表作として有名だが、時代小説の傑作とされる「新吾十番勝負」は、昭和30年代に朝日新聞に連載され、たびたび映像化もされた。時代劇の定番のひとつであり、大川橋蔵が主人公を演じた映画版が有名で、1959年から1960年にかけて東映で4作が公開されている。その後も「新吾二十番勝負」(1961~1963年)が3作、さらに「新吾番外勝負」(1964年)と続編が制作され、なかなかの人気シリーズとなった。
一方でテレビドラマも1958年に日本テレビ系で第1作が放送され、主演は江見俊太郎が務めた。第2作はフジテレビ系で1961年に「新吾二十番勝負」のタイトルで放送され、夏目俊二が主演した。ちなみに、江見は眠狂四郎役、夏目は遠山金四郎役をテレビで演じた俳優として知られる。
さて、その後も「新吾十番勝負」は何度もドラマ化されており、初期作品で有名なのは、田村正和が主演し、1966年~1967年に放送されたTBS系の「新吾十番勝負」である。田村は当時23歳。彼にとっては、テレビ時代劇初主演作という記念すべき作品だった。
秩父にある自源流道場で育てられた葵新吾(田村)は、近所の娘・お縫(岸久美子)を救うために黒田藩の侍を斬ってしまう。藩に出頭を命じられて切腹を言い渡されるが、新吾はそこで自身が将軍・徳川吉宗の隠し子であったという衝撃の事実を知ることになる...という物語だ。
新吾は、両親への愛を胸に秘め、次々と現れる強敵と闘いながら心技体ともに成長していくというストーリーで、全39回。近年では滅多に見られないが1話30分という枠で、短い尺である分、スピーディーで痛快な展開が毎回楽しめる。
放送情報
新吾十番勝負(主演:田村正和)
放送日時:2022年11月21日(月)スタート 毎週(月)~(金) 12:30~
チャンネル:時代劇専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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