来秋の朝ドラヒロイン趣里が全裸ダッシュ!?菅田将暉との共演作「生きているだけで、愛。」で魅せる心身共にさらけだした芝居を超えた演技

2023年の"朝ドラ"ヒロインの座を勝ち取り、かつてないほどに注目を浴びている趣里。32歳という年齢制限ギリギリで「最後のチャンスだと思って挑戦した」というオーディションは、彼女にとって4度目となる挑戦で、やっとの思いでつかんだ大役だ。そんな彼女の演技力は業界でも高く評価されており、『どんな役でもこなす女優』として知られている。

寧子(趣里)の恋人役を演じた菅田将暉
寧子(趣里)の恋人役を演じた菅田将暉

(C)2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

趣里はクセのある役を演じることが多く、多くの作品で異質の輝きを放ち圧倒的な存在感を発揮。中でも、心身共に"さらけ出した"体当たり演技で強大無比な光を放っている作品が、主演を務めた映画『生きてるだけで、愛。』(2018年)だろう。同作で第33回高崎映画祭最優秀主演女優賞、第42回日本アカデミー賞新人俳優賞、おおさかシネマフェスティバル主演女優賞などを受賞している。

同作は本谷有希子の同名小説を映画化したもので、過剰な自意識に振り回されて自分自身すらコントロールできず、現実との折り合いが上手くつけられない女性と、彼女の恋人が織り成すエモーショナルなラブストーリー。

鬱が招く過眠症のせいで引きこもり状態の寧子(趣里)と、出版社でゴシップ記事の執筆に明け暮れながら寧子との同棲を続けている津奈木(菅田将暉)。そこへ津奈木の元カノ・安堂(仲里依紗)が現れたことから、寧子は外の世界と関わらざるを得なくなり、2人の関係にも変化が訪れる...といったストーリー。

趣里が演じる寧子は、鬱と躁を繰り返し、過眠症で働こうにも働けず、そんな自分に嫌気が差してより鬱になるという悪循環から抜け出せないでいる女性で、同棲中の恋人・津奈木にも理不尽な理由でイライラをぶつけてしまうなど"生きづらい若者"を具現化している。なかでも特徴的なのは、"過剰な自意識に振り回され、自分でもコントロールできない""真っ直ぐ過ぎる故にエキセントリックな言動に走ってしまう"というところだ。

(C)2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

キャラクターの特徴だけでも表現するのが困難な難役だが、趣里は全ての特徴を繊細かつ強烈に表現。過眠症からくる気怠さ、「またやってしまった...」という自己嫌悪、イライラを津奈木にぶつけてしまう時の感情の切り替え、知らない人に対する態度と知っている人に対する態度の違い、躁状態のエキセントリックな言動etc....。「双極性障害(躁うつ病)」とひと言で断じてしまえば元も子もないが、その裏にある葛藤や苦悩といった心情を丁寧に演じることで、観る者を強制的に寧子の心情に寄り添わせる力強さがある。

そんな演技を可能にしているのは、やはり心をさらけ出しているからに他ならない。演技とは、役という仮面を被って別人として生きるわけだが、仮面のせいで自分自身の心はより奥に仕舞われる。しかし、同作での趣里は自身の心を"寧子色"に染めた上で、その心をさらけ出しているのだ。だからこそ観客の心を揺さぶるし、刺さる。これはもはや"芝居"の範疇を超えた演技で、「寧子が憑依する」ではなく「寧子に変身する」という方がしっくりくるほどだ。ラストでは、服を脱ぎながら全力疾走し、最後は全裸になってしまうという常軌を逸した行動に走るのだが、そんなエキセントリックの極みのような行動もどこか説得力があり、「寧子の中では、ある種のイニシエーションなのだろう」と納得させられる。

(C)2018『生きてるだけで、愛。』製作委員会

一方、そんな寧子を静かに見守り続ける津奈木を演じる菅田将暉の演技も圧巻。文学に夢を抱いて出版社に入ったものの、週刊誌の編集部でゴシップ記事の執筆に甘んじている日々への葛藤と、仕事にやりがいを感じることができず、職場での人間関係にも期待しなくなった絶望感。寧子がぶつけてくる感情を静かにやり過ごす優しさと、そうすることで無意識にも向き合うことを避けている姿など、寧子とは対照的なキャラクターとして津奈木を構築し、不安定なまま互いに依存し合う歪な2人の関係性を描き出している。

趣里の文字通り心も体もさらけ出した"芝居"を超えた演技と、菅田の閉ざされた心情と抑制の効いた受けの芝居の化学変化を堪能しつつ、作品の込められた熱いメッセージを受け取ってみてほしい。

文=原田健

放送情報

生きてるだけで、愛。
放送日時:2022年12月1日(木)20:30~ほか
チャンネル:衛星劇場
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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