ブレイク前の西島秀俊の哀愁ある演技が見どころの映画「帰郷」

2023年1月にスタートするドラマ「警視庁アウトサイダー」で主演を務めることが発表された西島秀俊。映画「ドライブ・マイ・カー」でアカデミー賞を受賞して以来の連ドラ主演作となるが、西島が俳優として人気がブレイクする前の2005年に公開されたのが主演映画「帰郷」だ。

(C)2004『帰郷』製作委員会

西島が演じているのは母親(吉行和子)が再婚する報せを受け取り、故郷に帰ることになる主人公、晴男。東京の会社に勤めてはいるが、地元の友人に"ウラハラ(裏原宿)"のことを聞かれても「何ですか?それ」と答える生真面目で冗談も言わなそうなタイプだ。年下の男性と再婚し、幸せの頂点にいる乙女気質の母親とは対照的で、亡くなった父の写真をお仏壇に飾ったままにしているのを見て母にそれとなく注意する。そんな晴男は学生時代から想いを寄せていた深雪(片岡礼子)と再会したことによって、思いもよらない事態に巻き込まれていく。あらゆる年代の女性たちに翻弄される男性を演じた西島の戸惑いの顔、やがて少女との触れ合いを通して成長していく過程を表現した演技から目が離せなくなる。

■気になったことは聞かずにはいられない晴男の性格が事件に繋がる?

離婚してシングルマザーになり、故郷に戻っていた深雪と再会した晴男は彼女のことが気になり、衝動的に関係を持ってしまう。それというのも晴男にとって深雪は忘れられない女性。学生時代から恋をしていて、やっと報われたと思ったときに彼女は突然、街から姿を消してしまったからだ。深雪に会ったことで晴男は「あの時のアレはどういうことだったんだ? 俺は思い出のつもりじゃなかったから」とストレートに自分の気持ちをぶつけるが、はぐらかす深雪にモヤモヤするばかり。深雪は帰り際に意味深なことを言い、娘のチハル(守山玲愛)に会ってほしいと住所を伝え、去っていく。暗がりの中、呆然と立ち尽くす複雑な表情は今の西島に通じるなんとも言えない哀愁を醸し出している。

■晴男を最も振り回すチハルと過ごす時間はロードムービーの味わい

言われた通りに深雪が住むアパートの部屋を訪ねた晴男は、まだ小学1年生のチハルと出会うが、母親の深雪はスーパーで働いていてまだ帰ってこないという。携帯を置いたまま出ていって、いつまで待っても帰らない深雪。突然、母のいる場所を知っていると言い出したチハルはバスに乗り、晴男もあとをついて行くが、目的地には深雪の姿はなく、家に帰ろうと説得するものの、チハルは言うことを聞かず、帰りのバスでも離れた席に座り、勝手に途中の停留所で降りてしまう。独身で子供もいない晴男は気まぐれで不安定なチハルの言動についていけず、質問攻めにするものの「話しかけないで」、「わかんない」と言われ、ますます困惑。しかし、奔放な母を探すあてどない旅を続ける内に2人の距離は少しずつ縮まっていく。深雪の残した言葉がひっかかり、"まさか"と思いながら責任感からチハルの面倒を見ていた晴男が相次ぐハプニングに父親の顔になっていく様を西島が好演。また深雪は逃げてしまったのか? 真実は明かされるのか? 母を一番に思う幼い少女との小さな旅が絡まっていたものを解いていくようなエンディングが余韻を残す。

文=山本弘子

放送情報

帰郷(2005)
放送日時:2022年11月28日(月)06:15~ほか
チャンネル:WOWOW4K
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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