11月に岐阜市中心市街地で行われた「岐阜市産業・農業祭~ぎふ信長まつり~」に登場し、その熱狂ぶりで50歳になってもなお人気が健在であることを証明した木村拓哉。主人公の織田信長役を演じる映画「THE LEGEND & BUTTERFLY」(2023年1月公開)にも期待が寄せられている。
そんな木村が、ジーンズがトレードマークの型破りな検事・久利生公平を演じた伝説のドラマの劇場版「HERO(2015年)」が映画・チャンネルNECOで放送される。2001年のドラマ「HERO」は最高視聴率36.8%という驚異的な数字を叩き出した木村の代表作の1つだ。
映画は久利生が働いている東京地方検事庁城西支部に、かつてコンビを組んでいた雨宮舞子(松たか子)が検事として大阪地検から出張してくる設定で、木村と松の再タッグが大きな話題となった。2014年に放送されたドラマシリーズで久利生の新たなバディ役を演じた麻木千佳(北川景子)も出演し、木村、松、北川の3人が絡むのも本作ならでは。自由奔放、信念を曲げず、時に突っ走ってまわりをハラハラさせる異端の検事を演じた木村の魅力とは?
■キーワードは「国境を越える」、治外法権の大使館に乗り込む木村
ネウストリア大使館の裏手に飛び出してきたパーティコンパニオンの女性が車に跳ねられて死亡した事件を取り調べていく中で、久利生は女性が靴を履いていなかったことが気になり、現場検証を行う。「大使館は治外法権だ」と言って止められても呼び鈴を何回も押し、わざと監視カメラに映ろうとしたり、無謀でやんちゃな振る舞いでたびたび注意を受ける。しかし、それでも女性の死に事件性があると睨んだ久利生は治外法権の壁を超える方法を考える。「愛、歌、料理」という麻木の言葉をヒントにネウストリア料理を出す店に通い、ソーセージの美味しさに驚き、客の話からネウストリア人はソーセージと、「ペタンク」というスポーツが大好きだという情報を得る。
そんな中、ついに大使館の職員と店で遭遇した久利生、麻木、宇野(濱田岳)の3人はペタンクの話で盛り上がり、それがきっかけとなって事件の真相に徐々に近付いていく。しかし、久利生たちの不穏な動きに気付いた相手から命を狙われることとなり、雨宮に事件の真相を追うことを止められても、久利生は「ここでやめたら、あの夜、何があったのか何もわからないまま終わるんだぞ」と言い放つ。亡くなった女性と、女性を轢いてしまったドライバーの人生のためにも諦めない。ぶっきらぼうだが、窮地に追い込まれてもジョークを飛ばす余裕があり、エゴイストなようで本当は相手のことをちゃんと見ている。そんな魅力的なヒーロー、久利生は木村のハマり役だ。
■木村と松の変わらないやりとりには思わずほっこり
一度は大阪支部に帰ったものの、昔と変わらない久利生の情熱に動かされた雨宮は、上司の許可も得ないままに再び東京支部に戻る。大使館のパーティに2人で潜入する場面では、着物に地味なストールを羽織った雨宮の格好を見た久利生が「旅館の仲居さんかよ」とツッコミを入れるなど、今作でも凸凹コンビは健在だ。言いたい放題の2人のやりとりや、担当事務官から検事に出世した雨宮に憧れと嫉妬の感情を抱いている麻木に久利生が「自分と雨宮、比べんな」と自分らしく行けと言わんばかりに励ます男前なシーンが見どころだ。
長年、久利生とコンビを組んでいた雨宮は「変わり者」、「非常識」、「わがまま」、「諦めが悪い」「真実を追求することにしつこい」などと言葉で久利生のことを愛を持ちながらもディスるが、規格外の久利生だからこそ突破できることがある。そんな主人公・久利生と木村拓哉が一体化していると思わせる演技は実に魅力的。
映画・チャンネルNECOでは2007年に公開された劇場版第1作「HERO(2007)」も併せて放送されるので、この機会に一度見て欲しい。
文=山本弘子
放送情報
HERO (2007)
放送日時:12月17日(土)19:20~
HERO (2015)
放送日時:放送日時:12月17日(土)21:40~
チャンネル:映画・チャンネルNECO
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