「インディカー・シリーズ」の2020シーズンがいよいよ開幕する。今季でインディカー・シリーズ参戦11シーズン目を迎え、"インディの顔"の一人になりつつある日本人レーサー・佐藤琢磨に注目が集まるが、思えば、2019シーズンは佐藤にとってまさに波乱万丈だった。
■多重クラッシュ...!潔白が証明されるもバッシングの対象に...
第3戦のアラバマは予選から絶好調。自身初となるポール・トゥ・ウィンで通算4勝目を飾ると、「インディ500」では、一時は31番手まで後退しながら、後半に驚異的な追い上げを見せ3位でフィニッシュ。ランキングも上位につけて期待が高まったが、シーズン中盤戦では苦戦が続き、目立った成績を残すことができなかった。
そして迎えた第14戦のポコノ。佐藤はスタート直後にアレクサンダー・ロッシと接触し、その後5台を巻き込む多重クラッシュとなった。しかも、このクラッシュに関して佐藤に非があるかのような声が一部から上がり、メディアを含めてバッシングを受けるという憂き目に遭ったのだ。しかし、所属チームが証拠映像を提出したことから潔白が証明され、佐藤を批判した人たちも発言を撤回。バッシングは沈静化した。
■ファンが溜飲を下げた大接戦の優勝
ポコノでの不運を吹き飛ばしてくれたのが、次戦の第15戦のイリノイだった。スタートの出遅れで一時は周回遅れにもなったものの、その後に挽回し、トップを奪う。ファイナルラップではエド・カーペンターと0.0399秒差という大接戦を制し、通算5勝目を飾って見せた。苦境にありながらも、自身初となるシーズン2勝目という快挙を果たし、ファンは大いに留飲を下げたはずだ。
この勝利によって、佐藤はロード、ストリート、オーバル、ショートオーバルというインディカーで開催される4つのコースタイプにおいて、すべて勝利を挙げたドライバーとなった。多彩なコースレイアウトが特徴のインディカー・シリーズにおいて、この記録は彼が一流ドライバーであることの証と言えるだろう。
2019シーズンを佐藤はランキング9位で終えた。過去最高位が2017シーズンの8位であったことを思えば悪い成績ではないが、本人にとっては悔しさが残っているのかもしれない。初のシーズン2勝を記録し、過去最高成績も十分視野に入れていたからだ。
■そして今年も長いシーズンが始まる...
2020シーズンではこれまで以上に熱い佐藤の走りに期待したい。良くも悪くも過去にない出来事だらけだった前シーズンでの経験が糧になっているはずだ。アジアで初めて「インディ500」を制した男は、「日本人唯一のインディカードライバー」などという肩書が、もはや不似合いになりつつある。
「インディカー・シリーズ 2020」の全17レースは、GAORA SPORTSにて生中継を中心にオンエアされる。3月16日(月)放送の開幕戦「セントピーターズバーグ・グランプリ」を皮切りに異国の地で長いシーズンを戦う彼の活躍から、今年も目が離せない。
文=渡辺敏樹(エディターズ・キャンプ)
放送情報
インディカー・シリーズ 2020
#1 セントピーターズバーグ・グランプリ(生中継)
放送日時:2020年3月16日(月)4:00~
チャンネル:スカチャン1
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※GAORA SPORTSでも3月16日(月)20:00~放送
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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