コロナウイルス感染拡大により様々な影響が出ている中で、新たなシーズンが開幕したフィギュアスケート。各選手はもちろん、フィギュア界をサポートする関係者たちも、あらゆる試行錯誤が続けられている。かつて"氷上の哲学者"と呼ばれた元トップフィギュアスケーターであり、現在は研究者という職に就いた町田樹もまた、新たな立ち位置からフィギュア界を支えている一人だ。
そんな町田の熱い使命感から誕生し、企画・構成にも携わっている「町田樹のスポーツアカデミア」が、J SPORTS 4にて10月20日(火)から放送される。この番組は"研究×スポーツ"をコンセプトに、スポーツをする人だけでなく、観る人、支える人にもフォーカスを当てるというものだ。
■国際舞台で活躍する競技者から研究者へと転身!町田樹の輝かしいキャリアとは
2014年のソチ五輪では5位入賞、世界選手権では銀メダル獲得など国際舞台で輝かしい成績を残した町田だが、2014年末に開催された全日本選手権を最後に突如として現役引退を発表。競技引退後はプロスケーターとして活動する傍ら、早稲田大学大学院へと進学し、"セカンドキャリア"の道を自ら切り開いてきた。
大学院ではスポーツ&アーツマネジメント研究を専門とし、博士論文や学会発表に心血を注ぐ中で、2018年からは研究に専念すべくプロ引退を決断。2020年春には博士号を取得、10月からは國學院大學の助教として、本格的に研究者のキャリアを歩み始めているのだ。
■研究者としての視点を活かした新たなスポーツジャーナリズム
番組の構想には、そんな彼が経験してきた「修士・博士5年間の研究活動」が原点にあるという。「主なスポーツ番組は、トップアスリートの競技内容や成績を伝えるものがほとんどですが、現代スポーツは観る人や支える人がいなければ成立しません。ジャーナリズムでは"する人"ばかりがフォーカスされがちですが、スポーツをする、観る、支える全ての方々に対して研究の成果を広く発信し、今後のスポーツ界がどうあるべきかを一緒に考えていく機会にしたい」と、番組を企画していくにあたっての使命感を明かしている。
具体的には、フィギュアスケート史に残る名プログラムを芸術学的観点から分析する「Archive(アーカイブ)」、スポーツ科学研究のフロントランナーとの対談を行う「Dialogue(ダイアログ)」、複合施設として機能するアリーナの"今"を取材する「Reportage(ルポルタージュ)」の3つテーマで構成される。
#1の放送では、氷上スポーツの発展において欠かせない青森県八戸市に足を運び、近年、新たに誕生した2つのアリーナ「YSアリーナ八戸」「FLAT HACHINOHE」を取材。町田の研究の成果を踏まえながら、番組ではこれまでスポットが当たらなかったスポーツ周辺の事情にまで切り込んでいく。
■トップアスリートの切実な現状をも見据えた町田樹の新たな挑戦
コロナ禍での無観客開催などが続く現状については、「同じ空間を共にできなくても、自身の表現は、メディアを通じて間接的に広く伝えることができる。大観客が目の前にいるのだというイメージを片時も忘れず、思いっきりパフォーマンスしてほしい」とメッセージを送る。一方で、自らも競技者として、スポーツ界の様々な問題を肌で感じてきたからこその強みを生かして、研究の成果を広くスポーツの実践現場に還元していきたいと語る。
研究者として冷静かつ客観的にスポーツを見つめる彼だが、その胸に秘めた熱い気持ちが番組からは伝わってくるはずだ。
文=HOMINIS編集部
放送情報
町田樹のスポーツアカデミア #1 【Reportage:アリーナの今を訪ねて】
放送日時:2020年10月20日(火)21:00~
チャンネル:J SPORTS 4
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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