今季、セ・パ交流戦で11年ぶりの優勝を達成。さらに37年ぶりの11連勝を記録し、7年ぶりにパ・リーグの単独首位に立ったオリックス・バファローズ。25年ぶりのリーグ優勝へ向けて戦うペナントレースの全主催試合は、J SORTSで生中継されている。そのオリックスを引っ張っているのが、野球日本代表の侍ジャパンにも選出されている吉田正尚だ。
■青山学院大時代から杉本裕太郎とクリーンナップを組んで活躍
福井県福井市出身の吉田は、6歳から野球を始め、地元の敦賀気比高校へ進んだ。1年の夏にはすでに4番を任され、全国高校野球選手権大会へ出場。2年の春には選抜高校野球大会へ出場し、準々決勝まで進出している。高校卒業後は青山学院大学に進学し、1年の春から4番に抜擢され、指名打者としてベストナインに選ばれるなど、いきなり大活躍。のちにオリックスでもチームメイトになる杉本裕太郎とクリーンナップを組んでいた。計4回ベストナインに名を連ねたリーグを代表する強打者として学生日本代表にも選出。2015年のユニバーシアードでは日本代表の優勝に貢献している。そして、その年のドラフト会議で1位指名され、オリックスに入団した。
■華々しくプロのスタートを切るも腰痛に悩まされる
プロ入り1年目の2016年開幕戦に1番・指名打者として出場した吉田は、開幕から6試合連続安打と、順調なスタートを切った。だが、腰に負担のかかるフルスイングが影響してか、腰椎椎間板症に見舞われ、1軍登録を抹消。8月に復帰するも、ルーキーイヤーは63試合出場にとどまり、打率.290、10本塁打、34打点だった。翌2017年はオープン戦の終盤に腰痛が再発し、開幕1軍入りを逃す。7月に1軍に復帰してからは主軸として活躍し、シーズン64試合出場で、打率.311、12本塁打、38打点と、前年の成績を上回った。
シーズンオフに腰を手術し、体幹トレーニングなどを積んで臨んだ2018年は飛躍の年になった。交流戦18試合では打率.397、3本塁打、10打点の好成績でチーム2位の原動力となり、MVPに選ばれた。シーズン全体でも全143試合へ出場し、打率.321、26本塁打、86打点の堂々たる数字を残し、リーグを代表する強打者の地位を確立した。
■前年に僅差で逃した雪辱を果たし、昨年は首位打者を獲得
2019年は日本代表の侍ジャパンに初選出。シーズン開幕前のメキシコとの強化試合に出場し、満塁本塁打を放った。シーズンでも安定した力を発揮し、首位打者の森友哉(埼玉西武)にこそわずかに及ばなかったものの、リーグ2位の打率.322、自己最多の29本塁打をマークした。シーズン終了後には第2回WBSCプレミア12に出場し、日本の初優勝に貢献している。
そして昨年はシーズン通して好調を維持し、打率.350のハイアベレージを記録。オリックスの生え抜き選手としてはイチロー以来20年ぶりの首位打者に輝いた。三振数は年間わずか29個で、規定打席到達者では最も少なく、長打力と確実性を併せ持つ稀な打者であることを証明した。
■今季も首位打者を快走し、東京五輪金メダルとリーグ優勝を目指す
身長173cmとプロ野球選手としては小柄な体ながら、長打を連発できる吉田の秘密は、強靭な肉体から繰り出す、独特のバッティングフォームにある。下半身を中心に筋肉を強化して高校時代より約20㎏も増量し、自身の愛称でもあるマッチョマンにビルドアップ。そして、大半の選手のバッティングは腰の回転から始まるが、吉田の場合は手が先に動き出してバットのグリップが前に出てインパクトした最後に腰と肩が一緒に回るのだ。強靭な下半身が生み出す鋭い回転、インパクトしてからボールを押し込む体幹の力が打球のスピードと飛距離を生み出している。また、ハンマー投げアテネ五輪金メダリストの室伏広治(現スポーツ庁長官)に直筆の手紙を送ってトレーニング法の師事を志願し、毎年年始に"室伏道場"で鍛錬を積むなど、たゆまぬ向上心も特筆ものだ。
今季もリーグトップの打率を維持し続け、チームを11年ぶりの交流戦優勝に導いた吉田正尚。侍ジャパンの主砲として臨む東京五輪の金メダルと、オリックス25年ぶりのリーグ優勝は、吉田のバットにかかっている。
文=田口裕(エンターバンク)
放送情報
J SPORTS STADIUM2021 オリックス vs. 楽天イーグルス
放送日時:2021年7月8日(木)17:30~
チャンネル:J SPORTS 3
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