「期待感がある!」福田正博岡野雅行坪井慶介鈴木啓太リカルド体制に言及!タイトル獲得に向けて必要なことは...

浦和を知り尽くしたレジェンドOBたち。右から岡野、坪井、福田、鈴木(敬称略)。
浦和を知り尽くしたレジェンドOBたち。右から岡野、坪井、福田、鈴木(敬称略)。

写真:徳原隆元

■レジェンド4人が選ぶ印象に残ったシーズンは...

浦和レッズに新しい風が吹き始めている。

2019年シーズンはACLの決勝まで進んだものの、リーグ戦では一時は残留争いに巻き込まれ14位でフィニッシュ。チーム再建を掲げた2020シーズンは下位からは遠ざかったが、上位陣に食い込むこともできず10位で無風の一年を終えた。

しかし、リカルド・ロドリゲス監督体制に移行した今季は、ここまでリーグ戦ではACL圏内を争いながら、ルヴァンカップではベスト4、天皇杯ではベスト8に勝ち進み、タイトルレースに名乗りを上げている。

そんな今季の注目チームのひとつとなった浦和について、レジェンドOBたちはどのよう目を向けているのか?スカパー!で特集番組を行ったクラブレジェンドの福田正博、岡野雅行、坪井慶介、鈴木啓太(敬称略)の4人が自身の思い出に残るシーズンと、"今"の浦和について考えを明かしてくれた。

――浦和で一時代を築いた4人のレジェンドたち。まずは、それぞれが浦和で印象に残ったシーズンはいつだったのだろうか?

福田:開幕の年かな。勝てなかったし、上手くいかなかったし、相当苦しいシーズンだった。苦しみもあったので、サポーターとの距離も縮まったこともあるだろうし、僕は浦和の原点だと思う。良い思い出ではないけど、濃密な一年だった。

岡野:僕もJリーグ開幕の頃はよく見てました。大学の寮で見ていて、僕なんかはこんなところには行けないだろうなと思っていましたね。印象に残っているのは、オジェックさんの時(ホルガ―・オジェック氏は95年、96年に監督を務めた)ですね。ドイツの選手も来て、自分をレベルアップさせてもらった。あのシーズンも優勝争いをしていて、鹿島戦でシュートを外しまくったんですよ。試合後に『僕のせいです』って言ったら、翌日サポーターが来てくれて、『お前のせいじゃない』って言ってくれたんですよね。ただ、順位は落ちてしまってすごく責任を感じました。

福田:良い時代だったんじゃない?1年目、2年目はなかなか勝てなくて、組織として、ピッチ内だけじゃなく、クラブ全体で機能していなかった。そこでオジェックさんが役割と責任を明確にしてくれて、組織を立て直してくれた。サッカー的には特別なことはしていなかったけど、それだけで勝てるようになった。今のようなクラブ運営と比べるとあの時代はそういう部分がまだ遅れていて、選手は特に変わっていなかったけど勝てるようになりましたね。

坪井:Jリーグ開幕の頃は、僕はヴェルディばっかり見てました。

福田:それが普通だよね。

鈴木:僕も浦和は見てなかったですね。地元の清水エスパルスしか見ていませんでした。正直浦和の印象はないです。福田さんがいたという印象しかないです。

■「福田さんたちの時代からの積み上げがあってこそのタイトル」

坪井:福田さんのことはもちろん見てました。僕の印象に残っているシーズンは2003年ですね。ルヴァンカップを優勝して。すごく貴重な経験をさせてもらって、いろいろ良かった半面、優勝が決まった時に(ハンス)オフト監督が辞めるというのがあったので、プロの世界はすごいなと感じました。当時2年目で23歳。タイトルを獲ってもなんで監督辞めるんだ?と。辞めた経緯は全然分からないですけど、まだまだ若造だったので、プロの厳しさも知れました。

鈴木:2003年は初めてタイトル獲って、鮮明に覚えています。僕もプロの世界どうなってるの?と感じましたよ。ただ、自分たちが成長しているのを実感していたので、ひよっこのチームでまだまだでしたが、それが少しずつ2002年からオフト監督になって、試合はこうやって展開していくんだというよな、サッカーの"いろは"を教えてもらった。ただ、初タイトルについては、歴史を作ってくれた人たちがいて、自分たちがその瞬間にいただけだと僕は思っています。ずっとやっている人たちやずっと見ている人たちはそこに対しての想いもあると思いますが、僕たちは途中から参加させてもらって、それまで築いてきたレールに乗らせてもらって、進んできたような感覚です。

やはり福田さんたちの時代からの積み上げがあってこそのタイトルでしょう。2002年に一緒に決勝を戦って、福田さん、井原さんと一緒にタイトルが欲しいと思っていましたが叶わず、その年で福田さん、井原さんがチームを離れると聞いた時のあの悔しさは今でも忘れません。そこからの次の年に獲れた初タイトルだったし、決勝では前年と同じ鹿島でしたし。

でも僕が一番印象に残っているのは2011年。苦しすぎたシーズン。辛すぎて、鬱になるかと思った。選手もいなくなって、代謝が起きて、若い選手たちも多くなって、その選手たちが未来の中心選手になるんだろうなと思ってはいましたが、自分たちがベテランとして踏ん張れなかった。自分も試合に出たり出なかったりでしたし。最後の5試合で、堀(孝史)さんが監督やって、生きた心地はしなかった。

坪井:当時キャプテンと副キャプテンだった啓太とヒラ(平川忠亮)は本当に大変そうでした。

福田:(当時監督だったゼリコ・ペトロヴィッチは)一緒にプレーしていたので、頑張って欲しいなと思っていました。(ゼリコ・ペトロヴィッチ)監督もチームメイトとしてやっていたので、そういう想いしかなかった。

■良い選手を供給し続けられる体制作りをすることが一番

――2022年にリーグタイトル、その先のACL制覇と「3年計画」を掲げる現在の浦和は、レジェンドたちの目にどう映るのか?現在の位置と「3年計画」の進度について伺うと......。

坪井:大槻さんから監督も変わっているので、ここからがスタートではないでしょうか。

鈴木:当初の計画とは変わっていると思う。ただ、チームが良い方向に進んでいるというのは言えると思うし、来年リーグ優勝できるかは、この先の積み重ねがないと難しいと思うが、期待感はありますよね。

岡野:(カップ戦を制した当時は)若い選手たちがハマっていて、良い雰囲気ではあると思いますが、それだけでタイトルが獲れるかというと、なんとも言えない。やっぱりワケ分かんないような、勢いのある選手がひとりいると面白いのかな。いい意味で。監督も変わって、良い助っ人も得て、来年優勝すればなんとでも言えるんじゃないですか。これが3年計画だって。

福田:今のレッズは、監督がやりたいサッカーはできてきていると思う。ただ、クラブとしてはずっと強化し続けなければいけない。去年の浦和よりメンバーも厚くなったよねという競争をしている訳ではなくて、他のクラブと競争していて、上回らなければならないワケですから。

今年良いのは、ずっと補強を続けていること。怪我もあるだろうし、移籍で出ていくこともある。そんなときに、現場だけでなく、クラブ側がいつも補強できる体制を用意してバックアップしている。今年はそういう部分が非常に上手く言っていると思う。でもこれで終わりではなくて、3年計画といっても優勝したら終わりではないだろうから、しっかりとベースを作って優勝争いをするためには、間違いなく選手を供給し続けられる体制を作っていくことが必要。下からの選手たちが上がってくるという仕組みも含めてだけど、とにかく良い選手を供給し続けられる体制作りをすることが、長い間勝ち続ける一番の要素になってくると思う。

今年見ている人たちがポジティブにとらえられているのは、監督が必要とする選手を上手く獲得できている気がするので、無駄もないし、無理もなく、外から見ていて良いなと思えます。サッカー的にはいろいろあると思うけど、勝てているのはひとつ良いこと。内容云々よりも、プロの世界は勝つことが重要。リカルドさんの一番良いなと思うところは、勝つためにサッカーをしているところ。理想を追い求めてこういうサッカーがしたいということよりも、勝つためにどうしたいかという逆算がいつも行なわれているように感じます。だから、見ていて楽しくない試合もありますが、しっかり勝ち切れていることは、非常に監督の良さも出ていて、好感も持っています。

今のレッズについては4人とも期待感を口にした。
今のレッズについては4人とも期待感を口にした。

写真:徳原隆元

■「タイトルのかかった試合を戦えるのは数試合しかない」

――そんなレジェンドたちが思い描く"浦和らしさ"とはいったい何だろうか? クラブのアイデンティティについて4人が出した答えは......。

坪井:アツさですね。選手もピッチ上で表現していて、もちろんサポーターたちの熱もある。(コロナ禍で難しい部分もあると思いますが)ファンと一体となったアツさがもっと出てくると良いですよね。

鈴木:ほかのチームから嫌われることがらしさかな。浦和には勝たせたくないと思われるような、そんなチームになって欲しいな。

岡野:6万人が入るチーム。それだけのサポーターがいて、相手の対応も時代によって大きく違いますが、僕のころは、最初はなかなか勝てない時期もあって、監督が変わって勝てるようになったときはチャレンジャーでしたし、(2004年に)浦和に帰ってきたときは、すごく相手から敵視されるような黄金期もあった。スカウティングで聞いていたことと相手が戦い方を変えてくることも多々ありました。

福田:浦和はやっぱり圧倒的なサポーターの圧力がある。埼玉スタジアムが対戦相手に圧倒的なアウェー感を抱かせるようなスタジアムになって欲しいし、そういう時期もあった。これからもそういうチームになれると思う。そのためには、圧倒的に強くないといけない。シンプルな話で、6万人が入らないと圧力は生まれないし、6万人を集めるためには当然強くないと集まらない。強いからこそ圧力もあるし、対戦相手はプレッシャーを受けやすい。それを実現するだけの恵まれた環境もある。強くなければ人も集まらないし、強いだけではなくスター選手も必要だろうし、育成からイニエスタとかシャビとか出てきた方が応援しやすいだろうし、目的さえはっきりすればそれを実現できると思う。3年計画は数値目標であって目的ではない。何位になるかよりも、浦和としての目的がどこまで達成できているかが重要だと思う。

――最後に期待感が高まる今のチームへメッセージを語ってくれた。

福田:チャンスは逃さないで掴んで欲しい。選手からすれば、何度もタイトルを取るチャンスというのはない。選手生活も限られているので、本当に死に物狂いでつかみ取って欲しい。そういう強い気持ちをピッチで表現してほしい。

岡野:とにかく1試合1試合やるだけですね。

福田:鳥取の方が心配だよね。

岡野:レッズはまだ強化費もあっていいですけど、うちは鳥取の名産品を売っていて、それが強化費にもなりますんで、ぜひ買ってください。ルヴァンカップの参加資格もありませんので。(※2021夏・野人プロジェクトの受付期間は9月30日まで)

坪井:やっぱり福田さんも言っていたように、タイトルのかかった試合を戦えるのは数試合しかない。そこでどれだけ信じて戦えるのか。貴重な経験を積めるということを、これからピッチに立つ選手たちがどれだけ理解できるかだと思います。

鈴木:僕は正しさを証明するための結果だと思う。タイトルを獲ることができれば、進んでいる道が間違っていないということがひとつ言える要素だと思う。チャンスを生かして欲しいですね。

転載元=サッカーダイジェスト

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放送情報

We are REDS!浦和レジェンド大集合SP<前編>

放送日時:2021年9月30日(木) 23:00~
チャンネル:BSスカパー!

※「2021夏・野人プロジェクト」の詳細はこちら

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