【後編】西武応援番組MCのあさりど・堀口文宏が期待する、ファームの逸材と西口二軍監督の"覚悟"

現地とテレビを含めて西武の一軍を全試合観戦、ファームも「中継があるものはすべて見る」という、あさりどの堀口文宏。記者にも決して引けをとらない野球眼と、ライオンズ愛を持ち合わせる。そんな堀口だからこそ知る、ファームの一押し選手と見どころを聞いた。

■「最も監督が合わない人」

今季からライオンズの二軍監督を務めているのが西口文也さんです。1990年代後半から西武を支えた大エースですが、正直、「最も監督が合わない人」だと思っていました。「西口さんに監督をやらせた方がいい」と言う人がいたら、「どの要素で思ったんですか?」って聞きたいくらいです。

現役時代のピッチングスタイルは、本当にいい意味で"のらりくらり"。立ち上がりはあまり良くなくて3点くらいとられることもあったけど、それでも8回3失点でまとめる。「よくなかったのは初回だけだったね」となり、誰も文句を言えない。だから初回に3点とられてもベンチはあわてないし、本人も「別になんですか」みたいな感じで落ち着いている。

取材の対応を見ていても、口数は決して多くなかった印象です。コーチになってから僕がインタビューをしたときも、「選手がやってくれますから......」とかわされました。まるで、現役時代のピッチングみたいに。そういう人が二軍の監督になったんです。

■若手の人生を背負う"西口監督"

今季開幕前、取材する機会がありました。率直な印象は、"ファームのお父さん"。「監督業をどう捉えていますか?」と聞いたら、よくしゃべるんですよ。

「コーチをやらせてもらっていたけど、自分が専門でやってきたことを教えればいいからそんなに難しいと思わなかった。でも、監督はバランスをちゃんととりながらやらないといけない。僕は野手についてわからないから、そこはコーチに任せる。でも、任せるといっても監督だから、見に行くぐらいはしないといけない」

こんなに弾けてインタビューを受けてくれるんだ!率直にそう思いましたね。監督になった西口さんは、人の人生を背負っている感じがしたんです。

現役時代は182勝で、200勝に少し届きませんでした。語り継がれる話として3度の"ノーヒットノーラン未遂"があります。引退したとき、それらを達成したかったかどうか聞きました。

ノーヒットノーランに関しては、試合展開によって"できる・できない"というチャンスがあるものなので、できなくても「悔しくなかった」そうです。なぜなら、「そこを目指していたわけではなかったから」。でも、いつも完封を狙っていたから、「点をとられたときの方が悔しかった」と。

200勝については、「達成したかった」と言っていました。西口さんはそういう悔しさを持ったまま、21年間の現役生活にピリオドを打ったわけです。

当時の話を改めて思い出すと、今、その悔しさをぶつけるタイミングじゃないかと思うんですよね。二軍監督という立場になって、選手たちにプロ野球人生で後悔させないようなアドバイスをするのにふさわしい人なのではないか、と。

西口さんは現役時代からクールな立ち振る舞いで、苦労している姿を見せない選手でした。だからこっちも「苦労していないだろう」と勘違いしちゃうけど、本人の中では大変なことをいろいろ乗り越えてきたはずです。そういう意味でも、監督としてどう目覚めるのか楽しみにしています。

■名前で得する地元出身右腕

西口さんの下でプレーするファームの選手たちの中で、特に期待しているピッチャーが豆田泰志です。地元埼玉の浦和実業高校から入って2年目で、1月に19歳になったばかりです。

じつはライオンズが2018年からリーグ連覇してビールかけをしたとき、未成年でその輪に入れなかった選手が2人います。伊藤翔と平良海馬。今年優勝したとき、それに次ぐピッチャーが誰かいないかと探しています。その候補が豆田投手です。

あどけない顔で、ファームらしい雰囲気が漂っています。見た目は「すごい球、投げるの?」っていう感じで、制球で勝負するタイプ。「あっ、そうなのね。これは面白いな」っていうピッチャーです。

ドラフトでは速い球を投げるピッチャーが多く指名される傾向にあるけど、ボールをうまく操れないと一軍には行けません。そう考えると、ある種、堅実なピッチャーです。近いうちにチャンスがあるのではないかと期待しています。

しかも、名字が「豆田」ですよ。最高じゃないですか。誰に教わらなくても「豆ちゃん」って言いたくなる。さらに顔を見たら、「豆ちゃん」そのものです。そんな人、なかなかいないじゃないですか。名前が得しています。球場で見ていると、「豆ちゃん!」って大声で言いたくなる。今はコロナ禍だから、言えないけど...。

西武応援番組でMCを務める堀口文宏
西武応援番組でMCを務める堀口文宏

写真提供:テレビ埼玉

■「なんで育成枠なの?」という逸材

野手の推しは、今年育成2位で新潟関根学園高校から入った滝澤夏央です。1月の新人合同自主トレで内野守備の練習を見ていると、とにかくスピード感にあふれていました。球界最小の身長164cm。「小さいからそうなったの?」というくらい、オーバーアクションなんですよ。

ライオンズファンは同じショートの源田(壮亮)選手を見ているから、守備に求める基準が高いと思います。滝澤選手の場合、源田選手より力が入っているように感じます。それでも動きはめちゃくちゃいいですが、力が抜ければもっと洗練されてくるはずです。

バッティングは大振りしないで、シュアな感じ。軸もブレないで振れている感じがします。これはいいですよ。なんで育成枠なのかなと思うくらいです。

ライオンズは何年か周期で、ちょっと小さいけどガッツのある選手が出てくるんです。大﨑雄太朗とか水口大地とか。今はそこの枠が空いています。2人とも背番号「0」や「00」をつけていたけど、滝澤選手の背中にも「0」が似合うと思います。

今は育成だから「126」。「背番号が126も減りました」と、育成から支配下になった代名詞に「0」をつけてほしい。西武の内野に割って入るのは相当ハードルが高いですが、将来性をすごく感じさせてくれて僕の超推しです。滝澤選手もファームにいる時期が短い可能性があるので、ぜひ今のうちに見てください。

インタビュー/構成=中島大輔 企画=This

【インタビュー前編はこちら】

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