――愚問ですが、麻雀が飽きたことはないですか?
「麻雀に対してはないです。でも、麻雀プロをやめた方が良いかもって思ったことは1回あります。映像の時代になってきて、日本プロ麻雀連盟チャンネルでリーグ戦とか全部放送するようになったタイミングで思いました。当時、瀬戸熊(直樹)さんがめちゃくち攻撃的な麻雀で、めっちゃ攻めて、めっちゃアガって、役無しノミ手のドラも何もない手牌で、めちゃくちゃ押してリーチも打たずに役無しを上がって300、500ツモみたいな...ずっと勝ち続けてたんです。それに対して、自分の麻雀を見た時に全然派手なプレイは無いし、すぐ降りるし、当時の自分の実力不足っていうのももちろんあるんですけど、全然勝てないし、これで麻雀プロをやってる意味ってあるのかな?これからの映像の時代をやっていく上で、自分の麻雀は派手さも無いし、魅力も無いし、認められないだろうなって考えた時に、麻雀は好きだから続けるけど、麻雀プロである必要はないよなって思った時期はありました」
――それはどうやって乗り越えたんでしょうか?
「結局、自分が最善だと思う手を見失ってた時期だったと思うんですよ。こういう風に打たないと視聴者ウケ悪いよなとか、自分の麻雀だとあんまりウケが良くないから本当は守った方が良いと思うけど、ちょっと攻撃してみようとかって。そんな時に、『第16回モンド杯』の打ち上げで村上(淳)さんに話してみたんです。そしたら、村上さんに『自分が良いと思った麻雀を打って、それを観てもらって、一生懸命打ってる姿に感動してもらう、それしかないんじゃないの』って言われて、確かにそれしかできないなって思ったんですね。だから、とにかく自分が良いと信じたことをやろうと決めたことがきっかけです。そして、それを続けた結果、応援してくれる人の声とか褒めてくれる人が少しずつ増えていったのが救いになったんですね。攻撃で派手にアガる麻雀じゃなくても、守ること。相手の当たり牌を止める、相手のキー牌を鳴かせない、相手の手を好きにさせない、逆に相手を使って相手をアガらせるとか...。こういうことでも『すごい』って視聴者さんが思ってもらえるようになって来たんで、自分がやってきたこと、勉強してきたことが間違いじゃなかったんだなって、今になって改めて思いました」
――活躍されて、ファンの方の声が広がってきているって感じますか?
「めちゃくちゃ感じますね。ちょっと前に寝起きのパジャマ姿のままでスタバに行ったら、カップに"今年こそ優勝!まーじゃんLOVE"って書かれてたんですよ!これってすごくないですか?声こそ掛けられてないだけで、僕のことを認識しれくれているのかなって思ったりします」
――モンド杯では、ジャケットやスーツを着ていられる方が多いと思いますが、髪型やファッションにこだわりはあるのでしょうか?
「ありますね。麻雀に興味がない人が1秒でも長く番組を観てくれるようにするには、どういう工夫が出来るんだろうって考えた時に、『え?こんな人いるの?』って一瞬でも長く観てもらえたら良いなって思ってます。モンド杯に出始めたころは、他のプロたちのように普通の格好でしたが、途中から意識が変わったというか、良い意味で(笑)ちゃんとしなきゃいけないなって意識と、なんでこの場に自分が呼ばれているのかと自分の役割を考えました。他のプロたちとは違うことを自分が自然な形でやって、それが番組を観るきっかけになったり、視聴者を惹き付けることになればいいな~って思ってます」
――第23回モンド杯で見てほしいポイントはありますか?
「麻雀の内容をぜひ見てほしいです。平凡じゃない一手を打った時に、麻雀のプロは否定されがちなんですよ。でも、自分の中の理想では、僕が違う手を打った時は『え?なんで打ったんだろ?何か理由があるのかな?』って観てほしいです。こういう視点で観てもらえるのが、僕の麻雀のプロとしての最後の目標です。羽生(善治)さんが打った手って"羽生マジック"って言われるじゃないですか。羽生さんが打ったから何かあるみたいな、そう言う風に思われたいです」
――「麻雀ハイブリット」、「白いブラックスワン」、「冥府の先導者」など格好良いキャッチャフレーズがたくさんある中、「供託泥棒」がお気に入りとのことですが、新しくつけたいとかありますか?
「『名人戦』にも出られている伊藤優孝さんをすごく尊敬しているんですけど、僕が『冥府の先導者』って言い始めたのは、優孝さんは『死神』と言われているからなんです。もし優孝さんが引退してキャッチフレーズを受け継がせてもらえるならば、『死神』が欲しいなって思ってます。麻雀プロになって挫けそうな時もあるんですけど、優孝さんのキャッチフレーズを自分が受け継いでるって考えたら、頑張れそうな気がしますので」
――モンド杯2連覇に向けての意気込みをお願いします
「過去に1回、連覇できるかもって言う時があって、それが手から滑り落ちた瞬間というのを味わってめっちゃ悔しかったです。連覇できそうなのにできなかった...今回は本当にチャンスで、2度とないチャンスかもしれないので、今回こそは優勝しなきゃいけないなって気持ちです!」
文=HOMINIS編集部
放送情報
モンド麻雀プロリーグ22/23「第23回モンド杯」
放送日時:2023年5月23日(火)23:00~
毎週(火)23:00~ ほか
※9月5日(火)最終戦(優勝者決定予定)
チャンネル:MONDO TV
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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