「さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち」4Kリマスター版をアニメ特撮研究家・氷川竜介が再考「名だたるアニメーターたちが精魂を込めて描き上げた」

劇場版第2弾は公開当時、異例の大ヒットで「ヤマト現象」を巻き起こした
劇場版第2弾は公開当時、異例の大ヒットで「ヤマト現象」を巻き起こした

(C) 東北新社/著作総監修 西﨑彰司

「機動戦士ガンダム」「新世紀エヴァンゲリオン」「鬼滅の刃」など、時代ごとに登場しては多くのファンを魅了している名作アニメ。なかでも「銀河鉄道999」など、数々の名作SFアニメが誕生した1977年から1985年にかけて発生した「第二次アニメブーム」をけん引したのが「宇宙戦艦ヤマト」シリーズだ。とりわけ、TVシリーズの総集編でもある『宇宙戦艦ヤマト 劇場版』に続く、1978年8月公開の完全新作映画『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』は、アニメ映画初の観客動員数400万人を記録し、同年の邦画興行成績第2位にランクインしたことで、アニメの社会的認知を高めた作品として知られる。

1月、同作の4Kリマスター版が全国36の映画館にて3週間限定で公開された。約半世紀を経て最新鋭の4Kスキャン&4Kリマスター技術でよみがえったSF映画の金字塔に、往年のファンだけでなく、その子どもや孫世代の胸も震わせている。そして、スターチャンネル1では、2月4日(日)に同作を最速で独占放送する。

今も多くの人々の心を捉えて離さない『さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち』。その魅力をアニメ特撮研究家・氷川竜介さんは、こう分析する。

4K版に関して、アニメ特撮研究家・氷川竜介さんは映像・音声に改めて注目
4K版に関して、アニメ特撮研究家・氷川竜介さんは映像・音声に改めて注目

「公開当時、絶望的な状況でも信念を貫き、他者のために行動し続ける熱い人間ドラマが、ティーン層の胸を激しく打ち、大ブームを巻き起こしました。そこから一般層にも作品の魅力が伝わっていきましたが、なかでも、当時大スター歌手の沢田研二さんによる新たな主題歌『ヤマトより愛をこめて』が果たした役割は、とても大きなものでした」

今回の4Kリマスターでは、緻密なメカデザインや深みのある色彩、ビーム、爆発、ワープといった特殊表現など、当時でも画期的だったアニメ映像が細部まで鮮明に。

「後に『超時空要塞マクロス』や『銀河英雄伝説』を手掛ける石黒昇さんが第1作に続きテクニカルディレクターとして、『機動戦士ガンダム』でキャラクターデザインおよび作画監督を務めた安彦良和さんも絵コンテ、原画マンとして参加しています。現在のアニメーションではCGで描かれるような細やかな部分も、名だたるアニメーターたちが精魂を込めて描き上げた迫力が伝わってきます。特に、白色彗星の中から現れる都市帝国の姿は、ビルと窓の光の量に圧倒されるでしょう。また、宇宙からメッセージを送ってきた美女・テレサの背後の光も、前面への回り込みを立体的に表現するなど、細部にこだわっていることが4K化によって、より明確に伝わってきます」

音声も、新たに発見された「磁気録音のマスター素材」を使用し、初公開時のモノラル音声がさらなるダイナミックレンジと音質を獲得。

「公開当時から話題となっていた、白色彗星の初登場シーンに流れる不気味なパイプオルガンの重低音の響きなどのサウンド面も最新技術によって、新たによみがえりました。ご自宅で4Kリマスター版をご覧になる方は、ぜひホームシアターでその荘厳な音を堪能していただきたいですね」

2013年からはリメーク版シリーズも制作され、新たなファンを獲得し続けている「宇宙戦艦ヤマト」シリーズ。その原点に連なる名作を日本最高峰の技術を駆使してよみがえらせた4Kリマスター版で、今なお色あせないスタッフ陣の情熱に触れてみてほしい。

取材・文=中村実香

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放送情報【スカパー!】

さらば宇宙戦艦ヤマト 愛の戦士たち 4Kリマスター
放送日時:2月4日(日)21:00~
放送チャンネル:スターチャンネル1

宇宙戦艦ヤマト[HDリマスター版]
放送日時:2月3日(土)25:00~
放送チャンネル:スターチャンネル2

宇宙戦艦ヤマト2
放送日時:2月12日(月)11:30~
放送チャンネル:スターチャンネル2

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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