そして運命の最終第5局。これまでの藤井のタイトル戦でフルセットにもつれ込んだのは、第6期の叡王戦のみだ。そのシリーズと同様、今回も藤井は最終局で先手番となる。そして穴熊からすさまじい強攻を見せて形勢をリード。いわゆる藤井曲線で完勝になるかと誰もが思ったが、伊藤は粘り強い指し回しから徐々に流れを引き寄せる。いつしか攻守も形勢も逆転。最後も藤井の勝負手に対して正確に返し、ついに藤井を投了に追い込んだ。
藤井はタイトル戦初登場から番勝負は22連勝中だったが、ついにストップ。素晴らしい記録で、「初登場から」という条件付きではまず破られない記録だろう。
伊藤は藤井から大幅に遅れたようだが、それでも歴代8位の年少記録となるタイトル獲得だ。二人は世間的にはまだ大学生である若さ。これからも数多く大舞台で戦い、いずれは百番指しにも届くだろう。伊藤がさらにタイトルを奪うか、はたまた藤井が奪い返すか。令和のライバル対決から目が離せない。
文=渡部壮大
放送情報【スカパー!】
第32期 銀河戦 本戦Bブロック 8回戦 村山慈明八段 vs 伊藤 匠七段
7月18日(木)21:00~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります
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