マンガ家・松本零士が、ダブル・アニバーサリーイヤーを迎えている。ひとつは、ご自身の生誕80周年。もうひとつは代表作「銀河鉄道999(以下、「999」)」の40周年だ。
「999」や「宇宙海賊キャプテンハーロック」に代表されるSFもののほかに、「男おいどん」といった四畳半もの、「ザ・コクピット」をはじめとする戦場ものなど、独自の世界をリアルに、ロマンたっぷりに、そして苛烈に描いてきた松本。ここまでの彼の軌跡を見ていくことにしよう。
マンガのみならず、アニメ制作にも積極的に関わりブームを巻き起こす
松本は1938年1月25日、福岡県久留米市で産声を上げた。5歳の頃に見たアニメ映画「くもとちゅうりっぷ」に衝撃を受けてマンガや映画に夢中になり、高校生の時に投稿した作品「蜜蜂の冒険」が「漫画少年」に掲載され若くしてデビューを果たした。
1971年に「週刊少年マガジン」で、九州から上京し下宿暮らしをする大山昇太の青春を描いた四畳半もの「男おいどん」の連載を開始。これがヒットとなり人気マンガ家へと躍進する。翌年には第3回講談社出版文化賞の児童漫画まんが部門賞も受賞している。
「999」は、1977年に少年画報社の「週刊少年キング」誌上で連載がスタート。主人公・星野鉄郎が、永遠の生命を得られる機械の身体を手に入れるため銀河を旅する物語で、同年に第23回小学館漫画賞を受賞し、1978年にはアニメ化、1979年には映画化されるほどのヒットとなった。
マンガ家としてのイメージが強い松本だが、デザインを提供したり企画を持ち込むなど、アニメ制作にも積極的に取り組んでいた。例えば「宇宙海賊キャプテンハーロック」は、もともとはアニメ用の企画だったという。「999」を含め、彼が関った作品は次々に映像化され、1970年代後半から1980年代にかけて松本アニメのブームが起こったほどだった。
マンガとアニメの発展に寄与した功績が認められ、2001年に紫綬褒章を受章。2010年には旭日小綬章を、2012年にはフランス芸術文化勲章シュバリエを受章している。
生誕80周年を迎えた今も、松本は深夜まで執筆をする現役マンガ家生活を送るなど、精力的に活動中だ。
未完の大作「銀河鉄道999」も新たなステージへ
さて、40周年を迎えた「999」は1981年に連載を終了しているが、その後も他の雑誌やWebで作品が発表されていて、松本零士のオフィシャルサイトには「本作は現在まで『未完』とされている」と記されている。
そう、主人公・星野鉄郎の旅は、まだ終わっていないのだ。未完だからこそ、今後も「999」という作品は発展していく可能性がある。40周年を迎えた今年は、生ドラマや舞台といった試みも行われる。特に実写映像化は初めてである。
「生ドラマというのは私にとって初めての体験ですので、どうなるのか想像もつきませんが、力の限りスタッフの方々が頑張ってくださるということに感謝しております。これが皆さんの思い出となるような作品になる事を願っています」
6月18日(月)に放送予定の生ドラマ「銀河鉄道999 40周年記念生ドラマ『銀河鉄道999 Galaxy Live Drama』」について、松本はそう語っている。
鉄郎の旅がこれからも続くように、松本の旅もこれからも続く。生誕80周年も「999」の40周年も、彼にとってはマイルストーンに過ぎないのかもしれない。彼の旅の過程とこれからを追う「緊急特番!松本零士誕生80年記念ドキュメント『松本零士999紀行~原点とこれからの旅路~』」が6月9日(土)に放送予定だ。マンガとアニメを大きく発展させた松本の偉大なる軌跡をたどってみてはいかがだろうか。
文=堀慎二郎
放送情報
緊急特番!松本零士誕生80年記念ドキュメント「松本零士999紀行~原点とこれからの旅路~」
放送日時:2018年6月9日(土)14:30~
チャンネル:BSスカパー!
銀河鉄道999 40周年記念生ドラマ『銀河鉄道999 Galaxy Live Drama』
放送日時: 2018年6月18日(月)20:00~
チャンネル: BSスカパー!
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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