福間香奈女流六冠が挑戦する、二度目の棋士編入試験の展望はいかに!?

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⒞囲碁・将棋チャンネル
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福間香奈(旧姓:里見香奈)女流六冠が2022年以来、二度目の棋士編入試験に臨むこととなった。前回の試験は3連敗で終わったものの、基本的には安定した成績を残しており、また女流棋士は公式戦に出場する機会が多いため規定の成績(10勝5敗以上)を満たすのは自然と言える。

棋士編入試験の試験官は新四段の5人。通常は直近2回の三段リーグ通過者と、その前のリーグ2位の昇段者が該当するわけだが、今回は少々異なる。前期の三段リーグで史上初の4人同時昇段があったためだ。非常に若く有望なメンバーであり、注目される場で彼らの対局を早速見られることはファンにとっても楽しみとなるだろう。試験は2026年1月から毎月1局ずつ行い、勝ち越せば四段となる。第1局から順に登場していく棋士を見ていこう。

まず第1局は山下数毅四段だ。棋士以外では史上初の竜王戦で5組昇級。三段、アマ、女流は昇級者決定戦に回れないため、竜王戦で昇級するのは難易度が高い。さらに翌期は5組でも勝ち上がり4組昇級を決めて、元々獲得していた三段リーグの次点と合わせて四段昇段の資格を得た。三段リーグではなかなか上がれなかったものの、竜王戦ランキング戦5組で優勝しており、すでに高い実力があることは疑いようがない。2025年10月時点での現役最年少棋士の17歳だ。居飛車党で福間の中飛車を迎え撃つことが予想される。

第2局は片山史龍四段。2度目の次点獲得により、山下四段とともにフリークラス入りでの四段昇段だ。21歳でのプロ入りは十分に若いが、三段リーグは11期と苦労することになった。同時に昇段した岩村凛太朗四段とともに、飯塚祐紀八段門下として初の棋士となった。研究派の居飛車党で、第1局と同じく福間の中飛車になりそうだ。

第3局は生垣寛人四段。パンチ力のある振り飛車党で、俊英揃いの井上慶太九段門下。福間とは互いに振り飛車党ではあるが、相振り飛車になるとは限らず、先後にもよるがどちらが振るかの駆け引きになる可能性もある。

第4局は岩村凛太朗四段。少年時代から指将棋でも評判が高かったが、詰将棋でも有名だった。詰将棋作家として最高の賞である看寿賞を複数回受賞しており、2025年の詰将棋解答選手権では藤井聡太竜王・名人に次ぐ2位の結果を出した(なお、3位は山下四段)。力戦派で相振り飛車も好むようだが、ここも第3局同様にどちらが振るかの駆け引きになるかもしれない。

第5局は炭﨑(※「崎」は正しくは「立さき」)俊毅四段。今回のメンバーでは唯一デビューから半年以上経っており、プロ棋士として公式戦を戦っている。山下四段とは誕生日がわずか1日早く、最年少棋士の座は譲ったが非常に若く有望な棋士である。まだ目立った活躍はないが、16歳での四段昇段は将来のA級棋士候補。いずれ伸びてくることは間違いないだろう。居飛車党だが、山下四段、片山四段と比べるとやや力戦寄りの印象だ。

5人中3人が10代棋士と、俊英揃いの試験官。福間にとっては前回以上に厳しい戦いとなるかもしれないが、一度経験があることは大きい。三段リーグ、1回目の編入試験に続く3回目の挑戦となるが、果たして夢をかなえることはできるだろうか。

文=渡部壮大

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放送情報

第43期女流王将 里見香奈の素顔
放送日時:2026年1月1日(木)6:30~
放送チャンネル:囲碁・将棋チャンネル (スカパー!)
※放送スケジュールは変更になる場合があります。

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