藤井聡太七段が令和の将棋界を予想「人間と一度も対局せずに棋士になる人も」

藤井聡太七段
藤井聡太七段

平成の将棋界を代表する棋士たちが一堂に会したイベント「棋才 平成の歩」が、4月29日に東京都内のホテルで行われた。第一部では、谷川浩司九段、羽生善治九段、佐藤康光九段、森内俊之九段、渡辺明二冠、清水市代女流六段が「平成を振り返る」をテーマにトークを展開。その後、第二部、第三部では里見香奈女流四冠、藤井聡太七段も加わり、イベントは進められた。

写真左から、佐藤康光九段、森内俊之九段、清水市代女流六段、谷川浩司九段
写真左から、羽生善治九段、藤井聡太七段、里見香奈女流四冠、渡辺明二冠

第二部は「チーム対抗リレー将棋」で盛り上がった。大勢の前で着るのは初めてという和服姿の藤井七段は「他の出演者の方が豪華なので緊張しています」と初々しい表情を見せる。早速、「佐藤・森内・清水」の理事チーム、「渡辺・里見・藤井」の若手チームに分かれて対決がスタート。解説は初めてコンビを組んだという羽生九段と谷川九段が務めた。

1人5手ずつ指して交代していくのだが、「棋譜も違うので、どうなるのか怪しい」と心配する渡辺二冠が、1手目で早くも作戦タイムを使う。話し合いは振り飛車名手の里見女流四冠に主導権を握られ、藤井七段は「ほとんど指したことがない」という振り飛車にチャレンジすることに。その様子に谷川九段は「藤井七段も大変ですね。初めての和服を着たかと思えば、見たことのない局面を指さないといけない」と解説し、会場の笑いを誘った。

対局左から、佐藤天彦名人(現:九段)、広瀬章人竜王

途中、スペシャルサポーターとして佐藤天彦名人(現:九段)と広瀬章人竜王も参戦。激しい攻防を繰り広げ、終盤では誰も指したがらないほどの局面の難しさに藤井七段が天を仰ぐなど、終始白熱した戦いに。結果は「佐藤・森内・清水」の理事チームが勝利した。

第三部は里見女流四冠、藤井七段を交えて再びトークショーが行われた。清水女流六段と里見女流四冠の印象に残る一局では、「第15期大山名人杯倉敷藤花戦」挑戦者決定戦で対局した2人のエピソードが語られ、青いハンカチを手に涙ぐんだことについて、里見女流四冠は「純粋に悔しかった」と当時の思いを口にした。

藤井七段のエピソードでは、29連勝の新記録達成時のことを振り返った。「デビュー戦の加藤一二三九段との対戦での時も多かったですが、29連勝の時には足の踏み場もないくらい報道陣の方が多くて、緊張したのを覚えています」と藤井七段が明かすと、羽生九段から「何連勝目で記録更新の手応えを感じましたか?」と質問が飛んだ。

藤井七段は「20連勝目となった澤田真吾六段との一戦に、逆転勝利したことで勢いがついたと思います」と振り返った。さらに、理想の棋士像について聞かれると「いい将棋を指して、多くの方に将棋の面白さを知ってもらえるような存在になりたい」と力強く答えた。

質問コーナーでは、整理整頓について聞かれた谷川九段が「書斎は乱雑ですが、将棋の研究の合間に掃除をしてオンオフを切り替えています」と回答。ネット中継が増えたこと関しては、渡辺二冠が「棋士の人となりが紹介される機会が増えて、いろんな側面から応援される方が増えました」と語るも、羽生九段が「対局者は席を外してのんびりできますが、記録係の方はできないので大変だと思います」と現場の苦労を思いやった。

また、手がきれいだと賞賛された清水女流六段は、里見女流四冠の手もきれいだと明かし、「白魚のような手で盤上にスッと音も立てずに入ってくるんですけど、手が厳しくって」と、ユーモアを利かせて笑いを誘った。そんな里見女流四冠もハンドクリームをつけて、しっかりとケアしていることを明かした。

そして、令和の時代に予想されるビッグニュースを、棋士が1人ずつフリップボードに書いて披露。女性棋士の誕生や活躍を予想する回答が目立つ中、藤井七段は「人間と一度も対局せずに棋士になる方が出てくるのではないかと思います」と、"AI時代の申し子"ならではの見解を示した。

最後に、若い棋士に向けて羽生九段が「将棋の世界は長い歴史と伝統があるので、大切にしてほしいですね。ただ、時代によって変えていかないといけないことは、新しい人たちが新しい感覚やセンスを発揮して、いい将棋界を作っていただきたい」とエールを送るなど、それぞれが令和の時代への思いを語り、イベントは幕を閉じた。

文=永田正雄 撮影=神保達也



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放送情報

第27期 銀河戦 本戦Eブロック 9回戦 行方尚史八段 vs 藤井聡太七段
放送日時:2019年5月28日(火)20:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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