藤井聡太王将に永瀬拓矢九段が挑戦するALSOK杯第75期王将戦七番勝負。永瀬は激戦の王将戦挑戦者決定リーグを6戦全勝で優勝し、2年連続の挑戦となる。
藤井は秋の王座戦五番勝負で挑戦者の伊藤匠叡王にフルセットの末に敗れ、六冠に後退した。しかし2年連続で佐々木勇気八段を挑戦者に迎えた竜王戦七番勝負は4連勝と圧倒し、5連覇で永世竜王の資格を獲得。調子は悪くなさそうで、二日制七番勝負のタイトル戦では18回戦い、いまだに負けなしだ。今回の防衛戦には5連覇が掛かっている。
タイトル戦で敗れた棋士は調子を落とすことも多いが、永瀬に至っては関係がないようだ。タイトル戦と並行して行われる各棋戦での予選でも白星を重ね、コンスタントに挑戦権を得ている。王座を失って以降はタイトル獲得はないが、藤井、伊藤のタイトルホルダーに次ぐ3番手であることは疑いようがないだろう。王将戦で挑戦者となるのは3回目だ。
藤井─永瀬の二日制でのタイトル戦は今回が4回目。昨年の王将戦から藤井が4勝1敗、続く名人戦も4勝1敗、王位戦では4勝2敗で防衛している。藤井相手にストレート負けがないのは永瀬が健闘しているとも言えるが、気になるのはいずれも藤井が開幕から3連勝していることだ。長い将棋界の歴史でも3連敗から4連勝は2例しかなく、どちらも大逆転防衛となったシリーズで、奪取した事例はない。高い勝率を誇る藤井に開幕から3連勝されては絶望的で、永瀬としてはまずシリーズ前半、それも第2局までに白星をあげられるかが勝負だろう。









