佐藤銀河はタイトルホルダーとして、藤井七段に対してのタイトル戦への予感、力をどう感じていますか?
佐藤「現在、将棋界は8大タイトルを多くの人数で分け合っていて、タイトルをうかがえる実力を持つ方が非常に多い状況だと思いますね。棋士であれば『いずれタイトルが取れそうだ』という感触を持たれることは、高い評価を得ていることにつながります。藤井さんの場合は、すでに棋戦優勝もされていてタイトル獲得の高いハードルを越えられる実力があるイメージを持っている方も多いと思います。10代でタイトルを獲得することが現実味のあるものとして、非常に高い可能性をお持ちになられているのではないでしょうか」
藤井七段は今の言葉を受けて、タイトルへの距離をどう考えていますか?
藤井「そうですね。2018年は自分の中で、まだまだ足りないところがあったと思います。そういった自分の弱さをしっかり克服した時に初めて、タイトルというものが見えてくるのではないかなと感じています。そういったことを含めて、タイトルに近づいていければいいと思います」
藤井七段の将棋を見て、子供や女性が将棋を始めたり、あらためて将棋を始める方が増えています。その現象についてはどう思いますか?
藤井「自分のことがきっかけの1つとして、将棋に興味を持ってくださったならうれしいです。新しく将棋を始めた方には将棋の可能性、非常に広くて奥が深いとか、魅力を感じていただけたらなと思います」
藤井七段の2018年度の対局数は前年度より減りましたが、どう考えられていますか?
藤井「前年度に比べて対局数は少し減少していましたが、公式戦の対局数は自分で自由に決められるものではないので、減ったことについては残念だとか自分に合っているといった感覚は特に持っていません。その時のペースに合わせてパフォーマンスを発揮できるよう、調整していく感じです」
佐藤銀河は頭を使うスポーツとして、対局ペースについてどう考えられていますか?
佐藤「まず、棋士としての感覚からすると、5日に一回の対局でも非常に多いペースですね。それが8日に一回になっても、対局数としてはハイペースです。藤井さんの年齢であれば、2日に一回、3日に一回くらいのペースでも、思い切って指せるかもしれません。ただ、藤井さんは高校に通っているので、学業と両立しながら2日に一回、3日に一回のペースで対局するのは、かなりタイトだと思います。5日に一回でもタイトさは変わらないので、対局数を増やす必要はないかなと思いますね」
2018年を振り返って漢字一文字で表すとしたら、どのような一文字になりますか?
佐藤「『動』という字ですかね。ここ最近の将棋界は、非常に動きが激しくなっていると思います。これまでも将棋は多くの方に愛されてきましたが、最近は今までいなかった層のファンの方が増えていると感じます。将棋のルールをおぼろげに知っている方から、インターネット生配信などで棋士のキャラクターや個性に魅力を感じてファンになった、という声を聞くことも増えました。従来からの新聞掲載やテレビ放送に加えて、インターネット生配信やモバイル中継の充実など観戦するインフラが整い、藤井さんのような存在が登場し、さまざまな要素が絡まり合って将棋界の盛り上がりにつながっているのだと思います。特に2018年は、非常に大きく激しい将棋界の動きの中で新たなファンの方々も増え、非常にいい意味での『動』という印象がありますね」
藤井「個人的には『進』が一番しっくりくると思います。2018年は将棋に対する課題を痛感させられることが多くありましたが、朝日杯、新人王戦の2つの棋戦で優勝する結果を得られました。自分の課題、超えるべき壁を見つけられたことも含めて、 "前進"の『進』です」
文=HOMINIS編集部
放送情報
第27期 銀河戦
放送日時:2019年2月5日(火)20:00~ほか
※毎週(火)(木)20:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※藤井聡太七段は2月5日(火)放送の本戦Eブロック5回戦から登場。
※藤井聡太七段が100勝を達成した本戦Eブロック6回戦は3月5日(火)放送。
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
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