小学6年から5連覇中!藤井聡太七段を語る上では欠かせない詰将棋解答選手権

写真左から、斎藤慎太郎、藤井聡太
写真左から、斎藤慎太郎、藤井聡太

藤井聡太七段が初めて世間で大きな注目を集めたのは、小学6年生での詰将棋解答選手権優勝だ。そして今年3月に行われた第16回詰将棋解答選手権で、前人未踏の5連覇を果たした。その模様と解説をするスペシャル番組が、12月7日(土)に囲碁・将棋チャンネルで放送される。

詰将棋は将棋の駒を使ったパズルのようなものだ。基本的には玉が相手のみ(双玉問題という例外もある)で、王手の連続で玉を詰みに持っていく。主なルールとして
・持駒が余らないようにする
・取られるだけの無駄な合駒はしない
・玉方は手数が最も伸びるような合駒、逃げ方をする
・正解手順は1つのみ
・盤上、攻め方に使われていない駒はすべて玉方の持駒
などがある。打ち歩詰め禁止、行きどころのない駒は打てない、など将棋の基本的なルールは詰将棋も同様。

捨駒や実戦に出てこないような手が出てくるのが詰将棋で、練り上げられた詰将棋はまさに芸術作品だ。そして、詰将棋を解くことは将棋の上達に効果が高いといわれている。そのため多くのプロ棋士は、幼少の頃より詰将棋に触れていることがほとんどだ。詰将棋を繰り返し解くことによって読みの力を鍛えたり、詰めの手筋を頭に入れれば、実戦の終盤も強くなっていく。藤井は詰将棋をこよなく愛し、創作に力を入れていた時期もある。将棋は仕事であるが、詰将棋は趣味という印象だ。

詰将棋解答選手権では詰将棋を解く速さを競う(チャンピオン戦は全10問、100点満点)。年に1回開催され、プロ棋士だけでなく、プロの卵の奨励会員やアマチュアも自由に参加することができる。ただ 歴代の優勝者はプロ棋士やアマチュアでも詰将棋の専門家ばかり。そんな中で2015年の3月に、小学6年生でプロ棋士を押さえてただ1人全問正解で優勝したのが藤井だ。このニュースは将棋界を驚かせ、「藤井はモノが違う」と知らしめた。その後、中学3年間も毎年優勝して4連覇し、今年を迎えた。

今年の詰将棋解答選手権には藤井の他に広瀬章人竜王、斎藤慎太郎王座のタイトルホルダーも参加。広瀬、斎藤は毎年のように参加する常連だが、タイトルホルダーとして今年は参戦した。基本は東京、大阪での開催だが、藤井に関しては取材が多いため、昨年から特設された名古屋会場で出場し、斎藤も名古屋に参戦した。

前半5問、後半5問のシステムだが、前半戦の藤井は一番乗りで退出した。同じ点数なら少しでも早く退出した方が上位となる(制限時間は90分)。しかし、痛恨の誤記があり減点。満点を逃し、追う立場で後半戦へ臨むこととなった。前半戦の1位は宮田敦史七段。過去6回優勝は歴代最多記録だ。

後半戦は超難問が2問あり、参加者を苦しめた。そんな中で藤井はギリギリで答えを見つけ出す。見直す余裕がなかったために後半戦でも誤記はあったが、98.5点で見事に逆転優勝を果たし、2位には後半戦を完答した斎藤が96点で入った。一方、後半戦で苦戦した宮田は90点で3位となった。

藤井はこれで5連覇を達成。「残り5分の時点で解けない問題があったが、なんとか解くことができた。これからも楽しんで参加できれば」と振り返った。斎藤は「詰将棋が好きで参加しているので、全問正解がかなわなかったのは残念。来年は100点満点を目指したい」と話した。

今回の10問には比較的やさしい問題もあるが、藤井、斎藤、広瀬らも苦しむような超難問もある。実際に答えを並べてみると、これらを頭の中で制限時間内に読み切ることのすごさを体験できるだろう。

※タイトル・段位は大会当時のもの

文=渡部壮大

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放送情報

第16回 詰将棋解答選手権
放送日時:2019年12月7日(土)20:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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