渡辺明三冠、安定した強さでタイトル防衛と四冠に挑む!

渡辺明三冠
渡辺明三冠

いま一番強い棋士は?と問われれば、多くの将棋ファンは渡辺明三冠の名を挙げるだろう。まだ30代ながら永世竜王、永世棋王の資格を持つ大棋士だ。

■中学生棋士としてデビューし、20歳でタイトルを獲得

渡辺は史上4人目の中学生棋士としてデビュー。すぐに活躍とはいかなかったが、2003年に19歳で初のタイトル挑戦。羽生善治王座(当時)にフルセットで敗れたものの、"羽生を震えさせた男"として話題になった。翌2004年に初タイトルとなる竜王を獲得。20歳でタイトルを獲得して以降、35歳になる現在まで無冠になったことはない。

2008年の第21期竜王戦七番勝負は今も語り草となっているシリーズだ。挑戦者の羽生、タイトル保持者の渡辺とも勝った方が初の永世竜王となる七番勝負。前半の3局は羽生が強さを見せて3連勝。このままシリーズが終わるかと思いきや、第4局は劇的な展開で逆転勝ち。さらに第5局、第6局も連勝して3勝3敗のフルセットへ。迎えた第7局はどちらが勝っても永世竜王となる大一番。結果は大熱戦の末に渡辺が制し、将棋界では初となる3連敗からの4連勝で大逆転防衛となった。

圧倒的な強さを見せる渡辺明三冠

(C)囲碁・将棋チャンネル

■厳しい2017年度を乗り越え、2018年度に完全復活

安定した強さを見せていた渡辺だが、2017年度は厳しい年となる。保持していた竜王を羽生に奪われて棋王の一冠に後退。さらにA級順位戦でも陥落。棋王の防衛戦でも追い詰められてフルセットになるが、辛くも防衛。敗れれば無冠となる一番をしのいだ。

このまま沈んでいくかとも思われた渡辺だが、そこは超一流棋士。翌2018年度に完全復活を遂げる。順位戦B級1組は12戦全勝の圧倒的な強さでA級復帰を決めると、王将戦も挑戦者となりストレートで奪取。さらに日本シリーズも優勝、棋王も強さを見せて防衛。勝率も8割と、あっという間に失った地位を取り戻した。それまでは固めて細い攻めをつなぐスタイルで戦っていたが、現代調のバランス型を見事に取り入れたのが復活の要因だろう。棋風改革を見事に成功させた。

今年に入っても勢いは止まらない。豊島将之棋聖を下して初の棋聖を獲得し三冠。A級順位戦も開幕5連勝、初の名人挑戦も視野に入れている。日本シリーズも連覇し、勝率は8割超えと、前年をさらに超える強さだ。

年明けからは王将戦、棋王戦の防衛戦が始まる。三冠を堅持し、自身初の四冠を狙うことができるか。

文=渡部壮大

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放送情報

タイトル戦 徹底解説 #928 第44期 棋王戦第4局 渡辺 明棋王 vs 広瀬章人竜王
放送日時:2019年12月12日(木)9:00~
(生放送)第69期 大阪王将杯王将戦 七番勝負
放送日時:(第1局2日目)2020年1月13日(月)8:56~、13:38~
     (第2局2日目)2020年1月26日(日)8:45~、13:30~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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