映画コメンテーター・有村昆が選ぶ、実話に基づく映画3選

「15時17分、パリ行き」より
「15時17分、パリ行き」より

実際の事件、事象やその時代をどう再現するのか、そこにどんなメッセージを込めるのか...。さまざまなタイプがある"実話を基にした映画"の楽しみ方を有村昆さんが解説する。

実話映画の"究極"として有村さんがレコメンドするのが、クリント・イーストウッド監督の「15時17分、パリ行き」だ。

「'15年のタリス銃乱射事件というフランスの列車テロを基にした映画ですが、この事件で英雄になった実際の3人をメインキャストとして起用するという、画期的な撮り方をしています。さらに他の当事者も出演させたり、実際の事件現場で撮影したりと、イーストウッドの"本物"へのこだわりがすごい。実話なので結末は分かりますが、これは少年時代に信頼で結ばれた3人がいかにして事件の日を迎えたのか、という過程の映画でもあります。テロとの戦いを壮大に描くのではなく、一般市民の目線...つまり聖人君子ではない普通の人間もヒーローに成り得るんだ、というシンプルで重要なメッセージを強く感じましたね」

「ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男」より

(c)2017 Focus Features LLC. All Rights Reserved.

同じ時代や事象が、複数の映画から立体的に見えてくる――これも実話映画ならではの楽しみ方だと有村さんは指摘する。

「マクロとミクロの視点から『ウィンストン・チャーチル』と『ダンケルク』を併せて見ていただきたいんです。首相としてイギリス軍救出のダイナモ作戦を命じるチャーチルの映画と、ダンケルク海岸で翻弄される兵士や救出に関わる市民たちの映画。『――チャーチル』の見どころは、やはり主演のゲイリー・オールドマンですね。頑固で嫌われ者の変人が、国王のジョージ6世や秘書と心を通わせていき、一人の人間として市民たちの意見を聞くようになる...この破天荒かつ繊細なチャーチル像を、くせ者のオールドマンが見事に演じ切っています」

「ダンケルク」より

(c) Warner Bros. Entertainment Inc.

「一方の『ダンケルク』は、ノーラン監督が初めて実話映画に挑んだ作品。陸・海・空の視点を、それぞれ1時間、1日、1週間で進行させて、ラストで全てが一つになる。時間軸を自在に操って多重構造を描くのが得意な、実にノーランっぽい構成ですね。ダンケルク海岸での出来事に絞ったサバイバル劇なのも特徴で、実話をただ再現するのではなく、見せ方によって面白く見せるタイプの映画です。深掘りしたい方は、国王ジョージ6世の視点から描かれる『英国王のスピーチ』もオススメ。国民の心に語り掛ける"演説"がキーになっている点も『――チャーチル』と重なりますし、第2次世界大戦下のイギリスの状況が重層的に理解できると思いますよ」

「英国王のスピーチ」より

(c)2010 See-Saw Films. All rights reserved.

ありむら・こん●'76年7月2日生まれ、マレーシア出身。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。YouTubeでは「有村昆のシネマラボ」で本音の映画批評を配信中。

聞き手=山崎ヒロト(Heatin' System)

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放送情報

15時17分、パリ行き
放送日時:2020年9月26日(土)15:00~
チャンネル:ザ・シネマ

ウィンストン・チャーチル/ヒトラーから世界を救った男
放送日時:2020年9月26日(土)21:00~
チャンネル:ザ・シネマ

ダンケルク(2017)
放送日時:2020年9月19日(土)21:00~ ほか
チャンネル:ザ・シネマ ほか

英国王のスピーチ
放送日時:2020年9月19日(土)21:00~ ほか
チャンネル:FOX
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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