映画コメンテーター・有村昆が選ぶ、'10年代のSF映画3選

「インセプション」より
「インセプション」より

監督の視覚的なアイデアやコンセプト、そして時代背景が色濃く作品に刻み込まれるSF映画。過去の名作のエッセンスも凝縮された、'10年代の優れたSF作品3本を有村さんが解説する。

近年のSF映画を語る上で、「クリストファー・ノーラン監督は欠かせない」と語る有村さん。「インセプション」には優れたSFの要素が凝縮されている。

「名作SFには、"非現実的な世界観なのにどこか現実味がある"ことが共通していると思います。『インセプション』は見た時にぶっ飛びながらも、納得させられた1本。ノーランが視覚化した"夢"の描写にワクワクしますし、レオナルド・ディカプリオ演じる主人公が妻との過去から逃れられないという身近なストーリーにも、自分ならどう行動するか、と考えさせられます。夢か現実か――古今東西、さまざまな作品で描かれてきたテーマですが、ノーランが改めて現代の情報化社会で色濃くなっている仮想現実への警鐘を鳴らしていると感じられました」

「インターステラー」より

(c)Warner Bros. Entertainment Inc.

「インターステラー」も外せない作品で、"家族愛"を追うと物語に奥行きが増すという。

「アメコミ映画の『ダークナイト』('08年米)、戦争映画の『ダンケルク』('17年米ほか)と各ジャンルで"新しい古典"を作り続けているノーランが、宇宙モノでやってくれたのが『インターステラー』です。宇宙で人類存続を懸けたミッションに挑む主人公と地球に残してきた娘の"親子の話"として見ても素晴らしい。必ず地球に戻ると娘に約束した、でもミッションのために家族を犠牲にしなければならない...終盤にかけて宇宙規模の壮大な物語になるほど、父と娘の私的でミニマムな家族愛が際立つ点がこの映画の肝ですね」

「ターミネーター:ニュー・フェイト」より

(c)2019 Skydance Productions, LLC, Paramount Pictures Corporation and Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

現実の社会問題が反映されるのもSF映画の特徴だ。ジェームズ・キャメロンによる「ターミネーター」シリーズは、その変遷を踏まえて見ると興味深い。

「『ターミネーター2』('91年米)の正統な続編として製作された『ターミネーター:ニュー・フェイト』には、現代の女性像や人種問題が反映されていました。1作目は未来の救世主ジョン・コナーを産む前のサラ・コナーが機械側に命を狙われる話、『―2』はサラが味方のアンドロイドと一緒にジョンを守る話だった。ところが『―ニュー・フェイト』ではキーになる人物は全員女性で、女戦士たちの物語になっています。さらに主人公はメキシコの労働者階級の若い女性。白人優位主義ではなくマイノリティも主役にしていこうという映画界の大きな流れを感じられて、とても良かったです」

ありむら・こん●'76年7月2日生まれ、マレーシア出身。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。YouTubeでは「有村昆のシネマラボ」で本音の映画批評を配信中。

聞き手=山崎ヒロト(Heatin' System) 取材日:6/26 リモート取材

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放送情報

インセプション
放送日時:2020年8月29日(土)21:00~
インターステラー

放送日時:2020年8月22日(土)21:00~ ほか
チャンネル:ザ・シネマ

ターミネーター:ニュー・フェイト
放送日時:2020年8月15日(土)21:00~ ほか
チャンネル:WOWOWシネマ ほか
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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