家族、恋人、友人...老若男女問わず楽しめるクリスマス映画を、有村昆さんに解説してもらった。
「シリアスで考察しがいのある小難しい作品もいいけど、クリスマスぐらい、たまには気楽に見たい」。そんな観点で選んでもらった3本の中でも、特に有村さんの印象に残っているのが「ゴースト/ニューヨークの幻」だという。
「この映画は一見ロマンチックなラブストーリーでありファンタジーなんですが、実は硬派なサスペンスが鍵になっていて、加えてホラー描写やコメディーの要素も...という物語の構成が素晴らしい作品です。見どころは何といってもヒロインを演じた、'90年当時に無敵のかわいさを誇ったデミ・ムーアですね。本作の撮影直前、ムーアは勝手に髪をバッサリ切っちゃうような問題児だったんですが、このショートカットが彼女の魅力を引き立てて、鮮烈さが際立ったと思います。特に名シーンとして語り継がれている、ろくろを回すシーンのムーアの美しさは今見ても色あせません」
ラブコメ×群像劇というジャンルの金字塔「ラブ・アクチュアリー」も、有村さんとしてはクリスマスに欠かせない1本だ。
「これは"ラブコメ総まとめ"的な作品です。総勢19人の主要人物が出てきて、9組の恋愛模様がクリスマスの夜に向けて動いていくんですが、長年の片思い、熟年夫婦の不倫、子どもの恋愛、同性愛、親子愛...と、必ず誰かの目線に立って応援できる脚本が見事。ヒュー・グラント、コリン・ファース、リーアム・ニーソン、アラン・リックマンといったキャストも豪華で見ていて飽きませんし、張り巡らされた伏線の点がラストに線へとつながる瞬間が実に感動的で、これぞクリスマス映画の決定版でしょう」
最後は「ユー・ガット・メール」。今こそ見返してほしいという大人のラブストーリーだ。
「『ラブ・アクチュアリー』とは対照的に、メグ・ライアンとトム・ハンクスの主演ふたりが魅せる作品で、NYという街、楽曲のチョイス、衣装、セリフなど、全てが革新的かつトレンディーでした。公開時の'98年は インターネットがまだ普及し始めたばかりで、当然マッチングアプリなんてありませんでしたから、メールを介した匿名性の高い恋愛というのは当時の最先端の出会い方だったと思います。とにかくライアンがかわいくて、個人的には彼女の魅力だけでも最後まで見れちゃいました(笑)」
ありむら・こん●'76年7月2日生まれ、マレーシア出身。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。YouTubeでは「有村昆のシネマラボ」で本音の映画批評を配信中。
取材・文=山崎ヒロト(Heatin' System)
放送情報
ラブ・アクチュアリー
放送日時:2020年12月24日(木)18:30~
チャンネル:ムービープラス
ユー・ガット・メール
放送日時:2020年12月24日(木)18:50~
チャンネル:WOWOWシネマ
ゴースト/ニューヨークの幻 [吹替版]
放送日時2020年12月24日(木)21:00~
チャンネル:WOWOWプラス
※放送スケジュールは変更になる場合あります
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