映画コメンテーター・有村昆が選ぶ、お正月に見たい映画3選

「ラ・ラ・ランド」より
「ラ・ラ・ランド」より

有村昆さんが新年一発目に見てほしいと語る映画を、今回は3つのカテゴリーに分けて解説してもらった。

「時間に余裕のあるお正月こそ映画の世界に没頭してほしい」と語る有村さんが、まず「カップル向け」の作品としてオススメするのが「ラ・ラ・ランド」だ。

「女優として成功を目指すミアと、ピアニストとしてひと旗あげたいセバスチャン、ふたりの悲喜こもごもが描かれますが、僕はこの映画を通じて『夢って何色なんだろう?』ということを考えていただきたいんです。ふたりが夢を持ってハリウッドにやってくる序盤は華やかでカラフルなシーンが連続して出てきます。でも、次第に現実を突きつけられて、途中から画面の色がくすんでいき、最後はほとんどモノクロ映画みたい。つまり、夢はバラ色じゃない、セピアで、モノクロで、もしかしたら絶望的な漆黒かもしれない。それが本当の夢の色なんじゃないか、と。その表裏一体の感覚にとてもリアリティがあります」

「親子向け」で楽しめる良質なエンターテインメント作品として、有村さんが熱を入れて紹介するのが「スパイダーマン:スパイダーバース」だ。

「スパイダーマン:スパイダーバース」より

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「何度も実写映画化されている『スパイダーマン』という、ある意味クラシックなコミックのモチーフを使って、アニメの歴史を一歩前進させたのが本作です。スパイダーマン×パラレルワールドという奇想天外な設定で、それぞれの世界の時間軸で多様性のあるスパイダーマンたちが登場して合流する。そんなブッ飛んだアイデアをまとめ上げたクリエイターたちの手腕が素晴らしいですね。子どもは『アベンジャーズ』シリーズのトム・ホランド版で『スパイダーマン』になじみがあると思うので、親子共通のコンテンツが『アニメでここまで進化したんだ!』と、堪能していただきたいです」

「シニア世代向け」のオススメは、有村さんも大好きな「男はつらいよ」シリーズ。

「男はつらいよ 寅次郎純情詩集」より

©1976 松竹株式会社

「基本的なプロットはいつも一緒なので毎回同じことが起きるんですけど(笑)、"繰り返しの美学"に引かれるからこそ、このシリーズは何度でも見れるんです。ただ渥美清がずっと寅さんを演じ続けるし、満男役の吉岡秀隆は映画の中でどんどん成長する。寅さんファミリーの全キャストが、同じことを何十年もやっているというすごさですね。僕らも彼らと一緒に年齢を重ねてきたので、見るだけで、まさしくお正月に実家に帰ったような安心感があります(笑)」

ありむら・こん●'76年7月2日生まれ、マレーシア出身。年間500本の映画を鑑賞。最新作からB級映画まで幅広い見識を持つ。YouTubeでは「有村昆のシネマラボ」で本音の映画批評を配信中。

聞き手=山崎ヒロト(Heatin' System)

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放送情報

ラ・ラ・ランド
放送日時:2021年1月2日(土)0:30~
チャンネル:ムービープラス
男はつらいよ 寅次郎純情詩集
放送日時:2021年1月5日(火)18:00~
チャンネル:衛星劇場
スパイダーマン: スパイダーバース
放送日時2021年1月9日(土)20:55~
チャンネル:ムービープラス
※放送スケジュールは変更になる場合あります

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