里見香奈女流四冠が女流棋士として初めて棋士編入試験に挑戦!女性の棋士第一号は出るか!?

女流棋士として初めて棋士編入試験に臨むことになった里見香奈女流四冠。女性として初のプロ棋士(四段)となれるかどうか、社会的にも注目される試験となりそうだ。

将棋のプロ棋士編入試験の歴史は比較的新しい。以前は、奨励会を勝ち抜き、三段リーグを突破するのが唯一のプロ棋士への道だった。しかし2000年代前半に瀬川晶司アマ(当時)が銀河戦で白星を重ね、さらにA級棋士だった久保利明八段(当時)にも勝ったことがきっかけで特例の編入試験が行われた。それを機に2006年に制定されたのが2つの編入試験だ。

1つはアマチュアの全国タイトルを取ったものが1年以内限定で受けられる三段編入試験。奨励会の例会に参加し、二段(初段が含まれることも)と8局行い、6勝すれば合格して三段リーグに4期参加できる。こちらも難易度は非常に高く、トップアマが多く挑戦したが三段リーグに参加できたのは今泉健司アマ(当時)のみ。その今泉も三段リーグは突破できず、次に述べる棋士編入試験でのプロ入りとなっている。試験そのものの難易度の高さに加え、次に控える三段リーグも厳しい戦いであるため、近年は受験者が出ていない。
 
もう1つは今回、里見が受けることになった棋士編入試験。アマチュア、女流棋士がプロ公式戦で10勝5敗以上の成績(いいところ取りで)を収めることで資格を得られる。新四段の5人と対戦し、3勝すれば合格でフリークラスに編入できる。アマチュアではこれまで4人、規程を満たしており、そのうち受験をした今泉健司五段、折田翔吾四段が合格している。現在もこちらの試験を目指しているアマ強豪もいるが、プロ公式戦に出るまで各県予選、全国大会を勝ち上がる必要もあるため大変な道のりだ。

今回、里見は女流棋士として初めてフリークラス編入試験の受験資格を得た。2022年になってからの勝ちっぷりはすさまじく、棋王戦では女流棋士として初めてタイトル戦での本戦出場を決めるなど連戦連勝している。今年勝った相手にはタイトル戦に登場したばかりの出口若武五段や、実力者の澤田真吾七段なども含まれており、里見の充実ぶりがうかがえる。

瀬川六段に話を聞くと「最近の勝ちっぷりを見ると合格しても全く不思議はないです。周囲の注目などに乱されずに、悔いのない戦いをしてほしいですね。個人的には受けない可能性が高いと思っていましたが、女性の棋士第一号は里見さんがふさわしいと思っていたので、受験の決断をしてくれて嬉しく思います」と話した。

対戦相手は1局目から順に徳田拳士四段、岡部怜央四段、狩山幹生四段、横山友紀四段、高田明浩四段。公式戦では狩山に敗れ、高田には勝っている。他に横山や岡部とは三段リーグでの対戦がある。試験は8月から1ヶ月に1局ペースで行われ、3勝すれば合格し四段だ。一度は諦めることとなった四段の夢をつかみ取れるか。

文=渡部壮大

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放送情報

将棋熱戦 徹底解説 #14 第48期 岡田美術館杯 女流名人戦 五番勝負第3局 里見香奈女流名人 vs 伊藤沙恵女流三段
放送日時:2022年7月16日(土)06:00~
チャンネル:囲碁・将棋チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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