世紀の大泥棒と頭脳明晰な名探偵がコラボ!『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』に岩井勇気がハマる理由とは?

「ルパン三世」と「名探偵コナン」による夢のコラボが実現した『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』
「ルパン三世」と「名探偵コナン」による夢のコラボが実現した『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』

様々なアニメ作品に精通しているハライチの岩井勇気さんが「大人にこそ観てほしいアニメ作品」を紹介するこの企画。第7回は、2013年に劇場公開された『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』。日本テレビ開局55周年と読売テレビ開局50周年の開局記念スペシャル番組として2009年に放送されたテレビスペシャル「ルパン三世vs名探偵コナン」の続編にあたり、世界にたった1つしか存在しない幻の秘宝、チェリーサファイアをめぐる大事件を描いた物語だ。人気2作品のコラボレーションのおもしろさ、特に好きなキャラクター同士の関係性について語ってもらった。

怪盗アルセーヌ・ルパンを祖父に持つ大泥棒、ルパン三世
怪盗アルセーヌ・ルパンを祖父に持つ大泥棒、ルパン三世

(C)2013 モンキー・パンチ 青山剛昌/「ルパン三世vs名探偵コナン」製作委員会

■ただのお祭り映画になっていない!練り上げられた脚本

もともと「ルパン三世」が好きで、「名探偵コナン」も劇場版はすべて観てきたくらい好きだったことから、テレビスペシャル版の放送もリアルタイムで観ていました。「ルパン三世」はシリーズごとに毎回キャラデザが違うものの、ルパン(声:栗田貫一)の世界にコナン(声:高山みなみ)くらいの等身の子どもって登場しませんよね。テレビスペシャルを観る前は、「そもそもキャラデザの違う作品同士をどうやってコラボさせるのだろう」と気になっていました。蓋を開けてみるとルパンとコナンの世界がなじんでいて、違和感なく楽しめたのを覚えています。

そんなテレビスペシャルからパワーアップした劇場版。映像的に映画クオリティになっているのはもちろん、テレビスペシャル以上に脚本がしっかりしているんですよね。コラボレーション作品は、キャラクターが大集合するお祭り作品になってしまう場合がほとんどだと思います。それはそれでおもしろいのですが、『ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE』はただのお祭り映画になっていない。2つの作品を取り扱わなければならない複雑な物語にもかかわらず、1つの作品としてまとまりがあり、かつおもしろくなっているのが魅力です。

劇場版は物語に4つの軸があると思っています。1つは「ルパン三世」の物語。もう1つは「名探偵コナン」の物語。そして、本作で登場するオリジナルキャラクターのエミリオ・バレッティ(声:入野自由)たちの物語と、敵キャラクターたちの物語。この4軸が最終的に1つの物語としてちゃんと回収されている。しかも、「ルパン三世」「名探偵コナン」それぞれの世界観を壊すことなく。そんな難しいことをよくやれるなと思いました(笑)

「見た目は子ども!頭脳は大人!」の江戸川コナン
「見た目は子ども!頭脳は大人!」の江戸川コナン

(C)2013 モンキー・パンチ 青山剛昌/「ルパン三世vs名探偵コナン」製作委員会

また、「ルパン三世」シリーズには、お決まりのコメディシーンやお色気シーンが登場しますよね。例えば、ルパンがパンツ一丁になるシーンや、峰不二子(声:沢城みゆき)の着替えやお風呂シーンとか。そういう伝統芸が、「名探偵コナン」の世界に入っているところも新鮮ですね。灰原哀(声:林原めぐみ)のお風呂シーンは、不二子がいたからこそのシーンだと思うんですよ。「ルパン三世」の世界と交差することで、「名探偵コナン」にはない要素が描かれる。それによってコナンのファンは「ルパンたちとの絡みがおもしろい」と思うでしょうし、ルパンのファンも「意外と(世界観が)ハマるじゃねぇか!」と観ることができるのではないかと思います。

灰原哀の入浴シーンが描かれるのは「ルパン三世」とのコラボならでは
灰原哀の入浴シーンが描かれるのは「ルパン三世」とのコラボならでは

(C)2013 モンキー・パンチ 青山剛昌/「ルパン三世vs名探偵コナン」製作委員会

■先輩「ルパン三世」と後輩「名探偵コナン」の意外とハマる関係性

テレビスペシャルの時からですが、「ルパン三世vs名探偵コナン」ではコナンと次元大介(声:小林清志)の絡みに注目してしまいます。僕はルパンと同じくらい次元が好きなんです。ルパンのパートナーとして情だけでなく尊敬して彼に接しているところ、ガンマンとして絶対に負けたくないと思っているところ。そういう芯がすごく通っていて、絶対にブレないところに魅力を感じます。

だから、次元のセリフはどのシリーズでも渋いし、カッコいい。「LUPIN the Third ~峰不二子という女~」での「そうか、お前がルパン三世か。名前がわかってよかったぜ。名前を知らなきゃ墓を作ってやれねえからな」や、『LUPIN THE IIIRD 次元大介の墓標』(2014年)の「お前がどれだけ軽い銃を使おうが知ったこっちゃないが、俺に言わせりゃロマンに欠けるな」とかめっちゃカッコいい。

話は逸れましたが、そんな次元はルパン以外に翻弄されることってほとんどないんですよね。不二子相手にも冷たく切り捨てる。なのに、コナンに対してはちょっと振り回されるところがある。コナンに「パパ」と呼ばれる次元など、貴重な姿が見られるのも「ルパン三世vs名探偵コナン」のおもしろさです。テレビスペシャルを経ての劇場版なので、ルパンも次元も「コナンはできるやつだ」と認めている、信頼を置いているように感じるのは、2回目の共演ならではだと感じます。

なかでも、次元がホテルの部屋に潜入している時にコナンとバッティングするシーンが特に好きで。次元がコナンに対して容赦なく銃口を突きつけるんですよね。次元はコナンといる時、三枚目なところが出るけれど、そのシーンでは「仕事の邪魔をするようなら、容赦はしない」とピリつく。次元がそういう世界で生きてきたんだなと察することができて、次元好きな僕としてすごくいいシーンだなと思いました。

次元とコナンのかけ合いもシリーズの魅力
次元とコナンのかけ合いもシリーズの魅力

(C)2013 モンキー・パンチ 青山剛昌/「ルパン三世vs名探偵コナン」製作委員会

作品としてもキャラクターとしても「ルパン三世」側は先輩、「名探偵コナン」側は後輩ではありますよね。次元とコナンはもちろん、ルパンとコナンや不二子と灰原のシーンなど、落語の師匠と弟子の関係性のようにルパン側がコナン側に対して「俺はコイツを認めていますよ」という構図になっている。その中でたまに立場が逆転する瞬間、コナンたちに翻弄されるルパンたちの構図もある。だけど最終的には、コナンたちに対して「負けてあげている」という感じを出すルパンたち。それがまたカッコいいんですよ。

少年探偵団に絡まれる石川五ェ門
少年探偵団に絡まれる石川五ェ門

(C)2013 モンキー・パンチ 青山剛昌/「ルパン三世vs名探偵コナン」製作委員会

「『ルパン三世』が『名探偵コナン』の幅を広げてあげている先輩」のように感じる瞬間が節々にあり、「名探偵コナン」という作品を、子どもはもちろん大人も楽しめる作品へと引き上げてくれているのではないかと思います。

取材・文=阿部裕華

岩井勇気●1986年生まれ。幼稚園からの幼なじみである澤部佑とのお笑いコンビ「ハライチ」として活躍。初のエッセイ集「僕の人生には事件が起きない」が22刷り重版中。放送されるアニメ作品はすべてチェックし、テレビ朝日で放送中の「まんが未知」など、漫画やアニメに関する番組でもMCを担当。また1月より、フジテレビ系列で毎週月~金に生放送している「ぽかぽか」でMCを務めている。

放送情報

ルパン三世vs名探偵コナン THE MOVIE
放送日時:2023年2月16日(木)17:00~、19日(日)15:00~
チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

最新の放送情報はスカパー!公式サイトへ

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