岩井勇気の推しアニメ>おもしろくもあり、面倒くさくもある社会の縮図に共感! リアルな視点で捉えた吹奏楽アニメ「響け!ユーフォニアム」

吹奏楽部を舞台にリアルな人間関係も描いていくTVアニメの劇場公開作品『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』
吹奏楽部を舞台にリアルな人間関係も描いていくTVアニメの劇場公開作品『特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~』

様々なアニメ作品に精通しているハライチの岩井勇気さんが「大人にこそ観てほしいアニメ作品」を紹介するこの企画。第10回は、現在NHK EテレにてTVアニメ第3期が放送中の「響け!ユーフォニアム」から、2023年に劇場公開された中編映画「特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~」を紹介。本作は「劇場版 響け!ユーフォニアム~誓いのフィナーレ~」(2019年)の後日談であり、TVアニメ3期の前日譚。3人以上8人以下の少人数編成による演奏を競う大会「アンサンブルコンテスト」へ向け、北宇治高校吹奏楽部の新部長となった主人公・黄前久美子(声:黒沢ともよ)が奮闘する。そんな久美子をお気に入りのキャラクターに挙げた岩井さんは、「社会の縮図を見ているよう」とシリーズの見どころを評する。久美子に惹かれた理由を軸に、本作の魅力を掘り下げてもらった。

■主人公らしくないところが魅力の黄前久美子

「響け!ユーフォ二アム」はTVアニメ第1期放送のタイミングからほぼリアルタイムで観てきました。京都アニメーションが手掛けている作品ということもあり、アニメーションの美しさはもちろん、劇中で描かれる人間関係がとにかくおもしろいんです。

個性的な北宇治高校吹奏楽部の面々が数多く登場するなか、すごく好きなのが主人公の久美子です。最初は「主人公なのに何を考えているかわからない。掴みどころがない。ミステリアスな人」と思っていたんです。だけど、北宇治高校吹奏楽部に入部していろんな人たちと関わることで、久美子の輪郭がハッキリしていくんですよ。そこまで主張がなく、すごくぼんやりと吹奏楽をしていて、大会で優勝しようが(関西大会、全国大会への)出場権を逃そうがわりとどうでもいいと思っている。

だからなのか、関わるキャラクターによって、久美子の見え方が違っているように感じて。例えば、同級生で親友の高坂麗奈(声:安済知佳)と一緒にいる時はかなり素の感情が出るけど、先輩や後輩といる時は掴みどころがないとか。すごく多角的なキャラクターなので、追っていくと「こういう主人公もいいな...」と思うわけです。

特に「特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~」は、全編通して久美子の成長物語だと感じます。(入部以前は)部活動で何か問題が起こっても我関せずなタイプだった久美子があれよあれよと部長になり、あまり関わってこなかった同級生や後輩たちにも接し、フォローしていかなければならない状況に。自ら関わろうとしなくても、他人事じゃなくなっていくんですよ。部長としての自覚というよりは、この経験から「自分は全体を引いて見て、サポートに回るタイプなんだ」という自覚が芽生えているように思えるんですよね。

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放送情報【スカパー!】

特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~
放送日時:2024年6月9日(日)18:00~
チャンネル:WOWOWシネマ

特別編 響け!ユーフォニアム~アンサンブルコンテスト~
放送日時:2024年6月25日(火)12:30~
チャンネル:WOWOWプライム

※放送スケジュールは変更になる場合があります

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