WOWOWプラスにて、4月から放送されている特集【9カ月連続!吹替ジャッキー】。この企画に併せ、5月より芸能界のジャッキー通たちがプレゼン&クイズに挑戦する「ジャッキーファミリー登竜門」が配信される。この番組に出演する次長課長(井上聡&河本準一)の2人に、長年にわたる「ジャッキー愛」と彼の魅力について伺った。
■岡山は、なぜかジャッキーの知り合いばかり?
地元・岡山県の中学校で知り合った同級生がお笑いコンビを結成した次長課長。1975~76年生まれの2人がジャッキー映画にハマったきっかけは、共に1980年代、小学生の時だったそう。
河本「7歳上のいとこがジャッキー好きで、何も知らない僕に『ヤング・マスター/師弟出馬』(1980年)の面白さを、身振り手振りをつけて事細かに教えてくれたんです。それにジャッキーの誕生日が僕と同じ4月7日だったこともあって、とにかく気になって、『ヤング・マスター/師弟出馬』の吹替版を観たのがきっかけです」
井上「僕も小学生の時に、テレビで放送された『ドランクモンキー 酔拳』(1978年)を観たのがきっかけです。それで、すぐに空手を始めてしまうぐらいジャッキーに憧れました。ただ、河本と知り合った時は、お互いにジャッキー好きだということは知りませんでした」
河本「そういえば中1か中2の頃に、『親戚がジャッキーの知り合い』と語る同級生の女子が現れたんです。でも、岡山の田舎だから、そんなこと誰も信じないわけで、『ほんなら、ジャッキーのサイン持ってこいよ!』となって...」
井上「それで、その子は『Dear Junichi&Satoshi』と書かれたサイン色紙を持ってきたんですよ。それが本物だったかどうかは分かりませんが、その時は『革命的な事件』でした(笑)。そういえば、喫茶店をやっているオカンの友だちもジャッキーのパーティに行ったことがあると言っていたし...。なんでジャッキーの知り合いが多かったんでしょう?」
■『五福星』のダンス完コピで、ジャッキーもニコニコ
真偽のほどは不明な体験を経て、高校卒業後、河本が「吉本に入ろう!ジャッキー・チェンに会えるで!!」という口説き文句で井上を誘い、2人は一緒にNSC(吉本総合芸能学院)に入学する。
河本「別に吉本とジャッキーの関係性とかわからなかったですから、あの誘い文句は単なる『キラーワード』です(笑)」
井上「その時すでに親戚の紹介で就職が決まっていたんですけど、芸能界の仕組みとか知りませんから、それ言われたら『入る!』ってなりますよ(笑)」
河本「でも、実際これまでに3回ジャッキーに会えましたから、あの言葉は嘘じゃなかったんですよ。最初は細木和子さんの番組で、ジャッキーの目の前で『お前に食わせるタンメンはねぇ!』を披露したんですが、まったく通じず総スベリ。相方は『五福星』(1983年)でサモ・ハン・キンポーが踊ったポットの踊りを完コピして、笑いを取っていました」
井上「ジャッキーの本心は分かりませんが、ずっとニコニコしていましたね。でも、ボディガードの方々が『近寄るな!殺すぞ!』みたいな顔つきをしているんですよ(笑)。それがとにかく怖くて、今でも『ジャッキー=ボディガードが怖い』のイメージが強いです」
■『ドランクモンキー 酔拳』から生まれた「あの定番ネタ」
そんな意外なトラウマも持つ2人だが、何度も観るほど好きな「ベスト・オブ・ジャッキー映画」を聞くと、こだわりの作品群が挙がると同時に、おなじみのフレーズにまつわるエピソードも飛び出した。
井上「世代的には『五福星』、『プロジェクトA』(1983年)、『スパルタンX』(1984年)には、大きな影響を受けました。いちばんキレがある動きをしていた時期なので、たまりませんね。そして、作品の面白さでいえば『酔拳2』(1994年)は、ジャッキーの集大成のような気がします」
河本「『少林寺木人拳』(1976年)、『ドラゴンロード』(1982年)。あと、もちろん『ヤング・マスター/師弟出馬』と『ドランクモンキー 酔拳』も! 『ドランクモンキー 酔拳』といえば、相方から劇中の『食堂のオヤジの顔マネやったらいけるんじゃない?』と言われて、『とんねるずのみなさんのおかげでした』の『マニアックものまね』のオーディションに行ったのが、僕らの大きな転機になりました。テレビ放送の時の吹替版と同じ『そうは酢豚の天津丼だ!』と言ったら、貴さん(石橋貴明)にムチャぶりされて、『お前に食わせるタンメンはねぇ!』へと変形していくんです。でも、実際の広東語訳は『こいつには、便所掃除でもさせてろ!』が正しい台詞なんですよ(笑)」
井上は、年齢を重ねていくごとにみんなジャッキーを卒業していく中、「自分は今でも卒業できない」と熱く語る。
井上「小学生の当時は、野球とかスーパーファミコンとか、いろんな誘惑というか興味を持つものが増えていくわけですよ。昔はみんな『酔拳ごっこ』をしていたのに、離れていってしまう。だから、ずっとジャッキーを追いかけている僕は、どんどん孤立していったわけです(笑)」
河本「僕はバラエティ番組もそんなに見てなかったので、子どもの頃に笑った記憶といえば、ジャッキー映画の印象が強いです。でも、いとこや親戚が集まって、ジャッキーごっこをする時は、いちばん小さいので、ジャッキー役はやらせてもらえなかったです」
井上「ほかにも、いろんなヒーローがいましたけれど、単純にカッコいいし、肉体を駆使して、努力して強くなる。何もわからない子どもが観ても、素直に『わぁ、すげえ!』と思えるんですよね」
■初心者も唸る!? ジャッキー映画に込められた「美学」と「教訓」
ジャッキーも今年67歳を迎えただけに、近作は以前のような過激アクションは控えめに。演技派俳優としての道を歩んでいるが、そんな彼の魅力とは何だろうか。
井上「最近の作品は、さすがにドキドキするような描写がないので、落ち着いて観られますよね。正直な話、そこまでアクションをしてないことに関しては、キーを下げて、往年のヒット曲を歌っているくらい寂しいのですが、アクションをやっていること自体がすごいことですし、『この年齢で、こんな動けるんだ!』という視点で観ています」
河本「日本でもファンが多いうえ、世界中で愛されているだけに、何より人としてのすごさや魅力を感じています。それに、映画自体に偽りがないというか、生身の人間としてやってきたことの強さ。そして、エンドロールのNGシーンで、弱さを含めて全部見せてくれたこと。『見せない美学』もあると思うんですが、ジャッキーは『見せる美学』を突き通したことによって、余計に応援したくなるんですよね」
最後に2人へ、「ジャッキー初心者におススメしたい一本」も聞いてみた。
井上「僕は『酔拳2』が初心者にとってのスタートであり、ゴールだと思っています。いわゆる形のアクションですけれど、昔の映画よりも動きが早いですし、『これ一本さえ観れば、全部入っていますよ!』という感じ。しかも、『酒で人生を失敗する』という素晴らしい教訓も入っていますし(笑)」
河本「僕の場合、『若いときの作品から見てください』といった薦め方はしません。僕自身が好きなのは、先ほど挙げたコメディの要素が強い作品ですけど、アクション要素の強い作品では、『スパルタンX』をお薦めしますし、(見る方の嗜好で)その都度メニュー表が変わってくると思います」
井上「あとは時間があれば、単純に最新作から、どんどん遡って見ていくのもいいですね。それによって、確実にジャッキーのスゴさは分かると思いますから!!」
取材・文=くれい響
井上聡●1976年生まれ、熊本県生まれ。河本準一●1975年生まれ、岡山県生まれ。
NSC大阪校13期生の二人が1994年にお笑いコンビ・次長課長を結成。現在ルミネtheよしもと、よしもと浅草花月などのお笑いライブなどで活躍。テレビ番組では「次課・長州の力旅」(BSフジ)、「痛快!明石家電視台」(MBS・TBS)、「秘密のケンミンSHOW」(YTV・NTV)などに出演。
放送情報
【9カ月連続!吹替ジャッキー】
(吹)蛇鶴八拳
放送日時:2021年5月23日(日)14:30~、5月27日(木)21:00~
(吹)少林寺木人拳
放送日時:2021年5月23日(日)16:15~、5月27日(木)22:45~
(吹)ヤング・マスター/師弟出馬
放送日時:2021年6月放送予定
(吹)ドラゴンロード
放送日時:2021年6月放送予定
(吹)拳精
放送日時:2021年7月放送予定
(吹)龍拳
放送日時:2021年7月放送予定
(吹)スネーキーモンキー 蛇拳
放送日時:2021年8月放送予定
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