乃木坂46の生田絵梨花が2014年に主演したミュージカル『虹のプレリュード』が、7月6日(土)にTBSチャンネル2にて放送される。手塚治虫(※「塚」は正しくは旧字)原作による同名漫画の初舞台化作品であり、現在では数々の本格的ミュージカルで活躍する生田にとって記念すべき初主演作にあたる。
物語の舞台となるのは19世紀のポーランド。ロシア帝国の支配下にあった同国で、音楽の道を志す若者たちが愛に生き、祖国への思いを抱きながらも時代に翻弄される姿を描いている。上演当時17歳だった生田が、性別をいつわり男装姿でワルシャワ中央音楽院に進学するルイズ・コルドック役を好演し話題となった。
2019年4月に菊田一夫演劇賞を受賞するなど、アイドルの枠を大きく越えて活躍する生田はドイツ生まれ。3歳からピアノをはじめ、5歳で帰国した後も音楽の道を歩み続けた。6歳の時に鑑賞した『アニー』の影響でミュージカル女優を目指し始めたことは、乃木坂46ファンにはよく知られている事実だ。2014年には音楽大学への進学のため、学業を優先してグループの活動を休止。数カ月ののち本作で仕事復帰を果たしている。
そんな音楽エリートの彼女は、初主演となるこの作品で男性(男装)と女性を演じ分け、さらにピアノの生演奏を披露するという離れ業を見せた。当時、劇場で鑑賞した観客の中には、生田が弾く「革命」(=練習曲ハ短調作品10-12/フレデリック・ショパン)を耳にして鳥肌が立った方も多かったのではないだろうか。
これまで数多くのアイドル出演舞台作品を鑑賞してきたが、『虹のプレリュード』の生田は次元が違っていた。初々しくも力強い演技、会場に凛と響き渡る歌声だけでも圧倒されたが、ピアノの演奏からもすでに表現者として"本物"であることが露見していた。個々のスキルに関して言えば、経験豊富な舞台俳優の演技や声楽家の声量、国際的に名声のあるピアニストの演奏には届いていなかっただろう。ただ、その3つをしっかりとプロのレベルで表現したうえに、ベテランにはない圧倒的な"透明感"を持っていた。驚くべきことに、現在に至るまでに多くの舞台で経験を積み、各スキルを確実にレベルアップさせながらも、透明感を失わないという才能の持ち主なのだ。
『虹のプレリュード』から5年、今では世界的な名作ミュージカルに出演し、日本トップクラスの俳優たちと渡り合っている生田。アイドルに関心のない方が本作を観れば、その実力に驚き新たな才能の発見を喜ぶことだろう。一方、乃木坂46は好きだけどミュージカルはちょっと...という方もご安心。17歳の彼女が本作で見せる輝きに魅了され、鑑賞後には「あなたのために弾きたい」(乃木坂46名義、生田絵梨花がピアノで弾き語るソロ曲)を聴きたくなることだろう。
文=大小田真
放送情報
生田絵梨花(乃木坂46)主演 ミュージカル「虹のプレリュード」
放送日時:2019年7月6日(土)20:30~
チャンネル:TBSチャンネル2 名作ドラマ・スポーツ・アニメ
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。
詳しくはこちら