乃木坂46・齋藤飛鳥が見せる新しいパニックホラーヒロイン像に心震える!

ドラマ「映像研には手を出すな!」(2020年)では、原作漫画のキャラクターを見事に三次元の息づく人物として演じ切った乃木坂46・齋藤飛鳥。乃木坂46のメンバーで"女優"といえば卒業を発表している白石麻衣のイメージが強いだろうが、齋藤も白石に勝るとも劣らない演技力の持ち主だ。そんな齋藤の女優としてのポテンシャルの高さが感じられる作品がドラマ「ザンビ」だろう。齋藤は同作で、ドラマ初主演にして"パニックホラー作品の新しいヒロイン像"を作り上げたといえる。

同ドラマは乃木坂46のメンバー21人が出演するパニックホラー作品で、全寮制女子高校を舞台に、生徒たちが不思議な現象に巻き込まれていく姿を描いたもの。7月9日(木)よりMONDO TVで放送される。

物語は、修学旅行の帰りのバスの中からスタート。バスの中は女子高生特有のはしゃいだ空気に包まれているが、齋藤演じる楓はどこか冷めた雰囲気をまとっている。そんな中、突然バスが故障し、楓らは見知らぬ村の廃屋でひと晩過ごすことに。翌日、村の神社の境内で異様な祠を見つけた生徒たちは、ある老人に追い出される。その後、学園に戻ってきた生徒たちの身に不思議な現象が起こり始める、というストーリー。

■言葉以外の表現で魅せる圧巻の演技

いわゆる"ゾンビもの"にカテゴライズされる内容だが、齋藤演じる楓の存在がステレオタイプの"ゾンビもの"から一線を画したものへと昇華させている。楓はクールであまり感情を表に出さない人物で、クラスに友人はいなくはないが、けっして多くない孤高な雰囲気のキャラクター。いじめられるような弱い性格でもがないが、いつも周りに人がいるような人気者でもない。そんな楓の視点で物語が展開していくのだが、「クールであまり感情を表に出さない」という性格から、主人公としてはせりふが極端に少ない。

齋藤はそんな楓の心情を、視線や表情、細かい体の動きといった言葉以外の表現方法で雄弁に語り、次々と身に降りかかる非日常の出来事に振り回される姿を熱演。異変に気付きいぶかしむ様子や驚く姿、周りに対する不審と不信、安堵する表情や恐怖におびえた顔、仲間を勇気付けるための笑顔、かつての友人に向けた葛藤など、多彩な表現でパニックホラーの世界の中で生きる少女の心の機微を描き出しており、一見せりふの少なさに気が付かないほど。実のところ、人は現実の世界では映像作品の世界ほど話さない。だからこそ、齋藤の演じる楓が物語のありえない世界にリアルさを与え、観る者を作品の中に引き込んでいってくれる。

(C)「ザンビ」製作委員会

■振り幅の大きさから見える女優としてのポテンシャル

加えて注目すべきは、齋藤が前述した多彩な表現の中に、必ず「果敢に立ち向かう」「けっしてあきらめない」といった"強い心"という楓の芯の部分を残しているということ。この"楓の芯"が通っていることで、ただ恐怖におびえて逃げ惑うだけではない、強くて孤高の"新しいヒロイン像"を確立している。これは、一緒に逃げる仲間に寄り添い、勇気を奮い起こさせる行動に説得力をもたらし、他の生徒役たちの芝居の一助にもなっている。

そんな中で、ラストでこの楓のキャラクター性は崩壊してしまう。ラスト直前まで一部の隙もなく丁寧に作り上げてきたキャラクターが一気に壊れる場面は圧巻。それまでの完成度が高いからこそ、その振り幅は大きく、観ていて心を強く揺さぶられること請け合いだ。このことからも、齋藤の女優としてのポテンシャルの高さがうかがえるはず。

美少女たちが逃げ惑う姿にヒヤヒヤするだけのドラマだと思うなかれ。齋藤が作り上げる"新しいヒロイン像"が紡ぐ比類なき作品に、大いに心を揺り動かされてみてはいかがだろうか。

文=原田健

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放送情報

ザンビ
放送日時:2020年7月9日(木)11:30~
チャンネル:MONDO TV
※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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