ディーン・フジオカが生み出した、ジャンルに囚われない新しい音楽ライブの形

「DEAN FUJIOKA
「DEAN FUJIOKA "Musical Transmute" Tour 2021【番組限定舞台裏オフショット付完全版】」(テレ朝チャンネル1)

連続テレビ小説「あさが来た」を始め、「シャーロック」、「パンドラの果実〜化学犯罪捜査ファイル〜」など幅広いジャンルのドラマで印象に残る演技を見せてくれるディーン・フジオカ。2004年に香港でモデルの活動をスタートした後、2005年には映画「八月の物語」の主演に抜擢され、俳優としてのキャリアをスタートさせた。

そんなフジオカにはもう1つ、活動の柱がある。それが音楽だ。幼少期からピアノを習い始め、その後、ギターにも興味を持ち、バンド活動なども行った。2009年には音楽活動の拠点をジャカルタに置き、作詞・作曲、プロデュースまでトータルでプロデュースする能力も身につけている。香港、台湾といった日本以外の場所でも活動した経験を持つフジオカだけに、音楽のジャンルもジャンルの枠に囚われず、歌詞も日本語や英語、中国語などをテーマによって書き分けられるのも大きな武器となっている。

ギターを弾きながら歌唱するディーン・フジオカ
ギターを弾きながら歌唱するディーン・フジオカ

そんなミュージシャンとしてのディーン・フジオカのスタイル、方向性を知るのにうってつけのものがある。それは2021年にリリースしたアルバム「Transmute」と、そのアルバムを携えて行われた全国ツアー「DEAN FUJIOKA "Musical Transmute" Tour 2021」だ。両方のタイトルに共通する「Transmute」という言葉には、「現代の混沌とした世の中で、予測不能な将来を生き抜くために『変異』していくことが大切だ」というメッセージが込められている。2020年に行われる予定だったアジアツアーはコロナ禍のため中止を余儀なくされ、このツアーも延期などを経ての開催となったが、その間に自身がやりたいと思っていたステージ、パフォーマンスの形がより明確になっていたということを感じる。

このツアーは、フジオカ自らが脚本を書き、歌劇やミュージカルなど、これまでの音楽ライブでは取り入れてこなかった要素をふんだんに盛り込んだものとなっている。サポートするバンドを「劇団トランスミュート」と呼び、従来のライブでの聴かせ方ではなく、ライブならではの視覚にも訴え、ストーリー性も重視した「立体的」かつ「多角度的」なステージを展開。新たな音楽ライブ、ステージパフォーマンスの指針と可能性を感じさせた。

静寂の中から「Neo Dimension」で始まり、「Take Over」でパッと世界がひらけていく。ジャケットを脱いで雰囲気を一変させた「Made In JPN」、スリリングなムードを醸し出す「Searching For The Ghost」。序盤だけでも目まぐるしくいろんなシーンを見せてくれた。
厳かな雰囲気の中で鍵盤を弾きながら聴かせる「Echo」、言葉の1つ1つを丁寧に届ける「Sukima」、手拍子と共に会場との一体感を確かめ合った「Runaway」、フジオカのいろんな写真をビジョンに映す演出で始まった「Permanent Vacation」で盛り上がりも最高潮に。

アンコールではアコースティクギターの弾き語りで「My Dimension」を聴かせるなど、最初から最後まで全てが見どころ。ストーリー性のあるシアトリカル(演劇的/劇場風)のステージ、これこそがディーン・フジオカの表現者としての神髄であり、大きな魅力と言える。

文=田中隆信

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放送情報

〈アンコール放送〉DEAN FUJIOKA "Musical Transmute" Tour 2021【番組限定舞台裏オフショット付完全版】
放送日時:2022年12月26日(月)19:30~
チャンネル:テレ朝チャンネル1
※放送スケジュールは変更になる場合がございます

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