アリスのメンバー・谷村新司堀内孝雄矢沢透のツアー中の自然体な姿が見られるドキュメンタリー「Alice THE MOVIE 美しき絆」

アリスによる1979年の全国ツアーライブ
アリスによる1979年の全国ツアーライブ

この映像作品はライブが中心ではあるが、あくまでもコンサートフィルムではなくドキュメンタリーである。横浜スタジアムでのライブが始まった後、50日前に時間が巻き戻される。谷村、堀内、矢沢は東京にいて、キャンピングカーに乗って、ツアートラックと共に旅に出る場面が映し出される。アリスの魅力は楽曲の良さはもちろんだが、3人のキャラクターも大きい。谷村と堀内が大阪出身ということもあるか分からないが、ユーモアのセンスをたっぷりと感じさせてくれる。この出発のシーンも、ちょっとコントチックな感じで気持ちを和ませてくれる要素がたっぷり。

高速道路を走って、カーフェリーに乗り札幌へ。札幌でコンサートを行い、再びフェリーに乗り高速を走って仙台へ。東京を通過して、静岡を越えて大阪へ。各地でのコンサートの様子のほかに、移動中のキャンピングカーの中での3人の姿、歯を磨いていたり、顔を洗っていたり、アコギを抱えながら曲を作っていたり、そういった素顔を垣間見ることができる。

ちょっとストーリー的な要素もあって、大阪では谷村が小学校の校舎に入り、教室の椅子に座って、子供の頃を回想している感じの映像があったり、金沢では和服の女性に心を惹かれ、追いかけていくがその女性の姿が消えてしまったり。そこにも少しユーモアが盛り込まれていて、思わず笑顔になったり、気持ちが癒されたりする。

3人のインタビュー(ひとり語り)もあって、当時30歳のそれぞれの思いも語られている。その中で谷村は「病気をしまして否が応でも休まなければならない時期がありました。これまでみたいなムチャクチャな歌い方はできなくなると思いますけど、来年は31歳なりのやり方、歌い方で、あくまで自然体でやっていきたいと思います」と、"自然体"という言葉を発している。この"自然体"こそが、アリスの3人に共通するものだと思われる。

ツアーは大阪以降も続き、金沢、北九州、広島、名古屋、そして東京に戻って日本武道館での7日間連続コンサートのリハーサルも行っている。そして武道館公演の様子も映され、オープニングで見ることのできた横浜スタジアム公演に戻ってくる。

各公演での親しみを感じるMC、そしてコンサートのラストに歌う「ハンド・イン・ハンド」を見ると、会場の大きさにかかわらず一体感を作り上げ、距離を近く感じさせる魔法のような力が感じられる。何より、3人の仲が良い。1981年にアリスは活動休止するが、1987年に再集結してアルバムとシングルをリリースしたり、2000年1月に阪神淡路大震災追悼コンサートを開催して、同年8月に"ALICE"名義で再結成を発表。その後もそれぞれの活動を併行し、ALICEとして、ツアーなども行ってきた。長く続けてこられた理由、秘訣というのも、この記録映画からしっかりと伝わってくるので、もっと深くアリスを知りたいと思っている方はぜひ見て楽しんでもらいたい。

文=田中隆信

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放送情報【スカパー!】

Alice THE MOVIE 美しき絆
放送日時:2月3日(土)18:00~ほか
放送チャンネル:日本映画専門チャンネル
※放送スケジュールは変更になる場合があります

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