シンガーソングライター・TOMOOが振り返る「MTV Unplugged」というステージ「自分の音楽人生の中で忘れられない宝石みたいな時間だった」

――楽曲のアレンジについては?

「基本的に(小西)遼さんにお任せしたのですが、お互いの共通認識として『原曲のパッションはあまり方向転換せずそのまま残して、リズム感、テンポ感をあまり大きく変えないで、各楽器のポテンシャルを生かす感じで拡張していこう』という感じで進めてもらいました」

――「裏庭のようなライブ」と称していらっしゃいましたが、その真意を教えてください。

「最近、私の音楽性やイメージ像が結構開けたものになっていっているなと感じていて、(イメージ的には)広場とか、ちょっと開けた通りとか、公園とか。でも、元々は家の中でしか演奏していなくて、結構ひっそりとした静かな心持ちで音楽を作ってきた時間が長かったので、『どっちの側面も自分の音楽だな』と思っているんです。そんな中で、"ひっそり"とか"ちょっとしっとり"とかそういう空気感が『ちょっと多めになってもいい時間を作りたいな』という。6月、7月にやっていたツアーがかなり元気でパワフルだったので、その反動で『こっちもあるんです』と改めて提示したかったという思いもあったからですね(笑)。あとは、自分のルーツとして、10代の時とかのチャキチャキしていない音楽を主に聴いて作っていた時の自分の中に流れていた時間を、もう一度思い返して届けたいなという気持ちでした」

――ツアータイトルが「Mirrors」ということで、今回のライブで改めて見えたご自身の姿はどのようなものでしたか?

「やっぱり自分は"ノスタルジー"とか"古いアルバムやノートを開くような情緒"が好きなんだなって思いました。あと、過去に書いた自分の曲のことを、そこに含まれている記憶とか当時の時間と共に、思っていた以上に愛していたんだなと感じました。

"自分の中で大事件が起きたから曲になる"というような音楽人生ではなく、些細なことを色とりどりの楽器で表現したことで、音としてはすごくドラマチックになったり、景色として豊かになったと思うんです。自分の中の豊かさではなく、世界に対して反応していたものとして作った曲が、今回の編成でよりプリズムのように『こんなに美しいものを見ていたのか』『こういうふうに自分は世界を反射してきたのか』ということに気付くことができました」

――普段、ライブで意識していることは?

「透明な管になるイメージですね。力を込めても力は出ないというか、ある意味"自分が消えて、視界がクリアになる"みたいな。『曲の景色を表現しよう、表現しよう』と思うと、むしろどこかに行っちゃって、(感覚的に)スッてなった時に、勝手にお客さんの方角に景色が見えるんです。そのイメージを持ちたいなと思って、いつもステージに立っています」

――番組をご覧になる方々、ファンの皆さんにメッセージをお願いします。

「このライブは、自分の音楽人生の中で忘れられない宝石みたいな時間だったなと思っています。その場に来てくださった方も、そうでない方も、どちらにとっても、また違った"じっくり"音楽を受け取ってもらえる時間になると思います。放送では細かい演奏とかも見えると思いますし、さりげないけどすごく非日常なライブだったと思うので、ぜひ楽しんでいただけたら嬉しいです」

文=原田健 撮影=皆藤健治 
スタイリスト=Minoru Sugahara
ヘアメイク=Chika Ueno

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放送情報

MTV Unplugged Presents: TOMOO
放送日時:2024年11月24日(日)18:00~
チャンネル:MTV

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