今年デビュー20周年を迎えた椎名林檎。宇多田ヒカル、井上陽水らが参加したトリビュートアルバム『アダムとイヴの林檎』を皮切りに、全楽曲のサブスク解禁、全国ホールツアー「椎名林檎と彼奴等の居る真空地帯-AIRPOCKET-」の開催、エレファントカシマシの宮本浩次とのコラボによる「獣ゆく細道」(椎名林檎と宮本浩次)のリリース、さらに10月から11月にかけて約4年ぶりのアリーナツアー「椎名林檎(生)林檎博'18 ―不惑の余裕―」を行うなど、アニバーサリーイヤーにふさわしい刺激的な活動を続けている。
1998年、20歳のときにシングル「幸福論」でメジャーデビューした椎名林檎は、日本の音楽シーンにおける女性アーティストの在り方を大きく変えてきた。1stアルバム『無罪モラトリアム』、2ndアルバム『勝訴ストリップ』が爆発的なヒットを記録。オルタナティブ・ロックと歌謡曲を融合させたサウンド、人間の根源的な欲望を美しく映し出す歌詞、そして、上質のエロティシズムと美しい叙情性、破壊的な衝動を同時に感じさせるボーカルによって、彼女は瞬く間にスターダムを駆け上がった。
アーティストとしてのイメージを固定することなく、常に新たな表現の地平を切り開いてきたことも彼女の魅力だろう。2003年から2012年にかけて、亀田誠治(Ba)、浮雲(G/長岡亮介)らとともに東京事変のメンバーとして活動。2013年からは再びソロ活動をスタートさせ、翌年にはアルバム『日出処』を発表。2015年10月からはソロ名義としては12年ぶりの全国ホールツアー「椎名林檎と彼奴等がゆく 百鬼夜行2015」を開催するなど、日本の伝統文化を取り入れた独自の世界観を作り上げてきた。また、2016年8月にはリオデジャネイロオリンピック・パラリンピック閉会式のフラッグハンドオーバーセレモニーにて演出・音楽監督を担当。2017年に放送されたドラマ「カルテット」では、キャストの松たか子、満島ひかり、高橋一生、松田龍平が歌う主題歌「おとなの掟」を制作するなど、様々なフィールドで才能を発揮している。
12月からはフジテレビTWOで、ライブ映像作品・8作品が4カ月連続で放送される。まずは「下剋上エクスタシー」。2000年4月から6月にかけて行われたこのツアーでは、「本能」「歌舞伎町の女王」「罪と罰」「丸の内サディスティック」など初期の椎名林檎を代表する楽曲が披露された。20代前半の椎名林檎のアグレッシブなステージングは、いま観ても驚くほどに刺激的。楽曲のクオリティの高さ、エンターテインメント性に溢れた演出を含め、彼女の才能が開花する瞬間を収めた貴重な映像作品と言えるだろう。
初のホールツアー「下剋上エクスタシー」終了後、"発育ステータス"というバンド名義で行われたライブハウスツアーを収録したのが、「発育ステータス 御起立ジャポン」だ。ギタリストの田淵ひさ子(ex.ナンバーガール)、ドラマーの吉村由加(ex.DMBQ)を交えた鋭利なバンドサウンド、先鋭的なオルタナティブの要素を含んだ楽曲からは、ロックアーティストとしての椎名林檎の凄みがリアルに伝わってくる。いまや日本を代表するアーティストとして圧倒的な存在感を発揮している椎名林檎。「下剋上エクスタシー」「発育ステータス 御起立ジャポン」の放送は、デビュー当初の彼女の才気走ったステージを追体験できる貴重な機会になるはずだ。
文=森朋之
放送情報
下剋上エクスタシー
放送日時:2018年12月30日(日)21:00~
発育ステータス 御起立ジャポン
放送日時:2018年12月30日(日)22:35~
チャンネル:フジテレビTWO ドラマ・アニメ
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